■男性優位社会の影響
男性優位社会の影響によって
私たちは幼い頃から
”女性は無能”なのだと
様々なことによって刷り込まれます。
それはおおむね、
有能さを示す女性は
非難の対象になりやすく、
無能さを示す女性は
社会に受け入れられやすい、
のような感覚です。
性別で有能／無能など
決まるはずもないのに、
なぜか女性は「一般的に無能」と
扱われがちです。
もっとも、ここ最近は、
徐々に変化しているように
感じますけど。
アルフレッド・アドラーは
このような影響を、
次のように指摘しています。
「少女は、
日々のいたるところで
”女性は無能”で
軽度の従属的な仕事しか
向いていないと耳にする。
少女はこれが
正しいのか判断できないため、
”女性は無能”を変えることが
できないと諦め、
自分には能力がないと
信じるようになる。
このように
勇気をくじかれた少女は、
男性の領域（主に仕事）に
かかわるとしても、
関心を持とうとしないか、
無関心なために、
準備ができていないのである。」
男性優位社会は、
女性を仕事（お金）から遠ざけることで
男性優位を維持・強化してきました。
それがこのような
”女性は無能”という偏見となって、
今もなお影響を受けているのです。
例えば、日本であれば、
世帯主は男性がなるのが一般的だったり、
内閣総理大臣が男性ばかりだったり、
天皇が男系だけだったりするのも、
その影響です。
■偏見を支える２つの価値観
アドラーは、
”女性は無能”という偏見は、
次の２つの価値観に起因している、と
指摘しています。
「人間の価値は、
仕事においてどれだけのことを
達成したかによって決まる」
「あげた業績および、
業績をあげる能力は、
精神の発達と関連しない」
これを一言でいえば
「人間の価値はお金で決まる」
となるでしょう。
精神的に未熟であっても
お金を持ってさえすれば、
有能と扱われる、ということです。
それは例えば、
金額の大小にかかわらず、
「家計を支えていることが、即有能である」
となることすらあったりします。
そして、家計を支えることを、
女性から取り上げてしまえば、
男性なら誰でも有能と扱われる、
というのが男性優位社会なのです。
女性をお金から遠ざければ
遠ざけるほどに、
男性優位を維持・強化できるわけです。
幼い頃から
「男性が働いて家計を支え、
女性は家のことをする」
と何度も言われ続け、
周囲の子らもそう信じていたら、
同調圧力もはたらいて、
少年でも少女でも、
自分もそうなるんだと信じてしまうのも
やむを得ない、という感じです。
アドラーは、このような影響を、
自分に価値を感じることや
自信を感じることをやりづらくさせ、
何か誇れるようなことを
しようとする希望を
”内側から切り崩すこと”に役立つだけだ、
と指摘しています。
つまり、
”女性は無能”という偏見は
生きるのに役に立たないこと、
というわけです。
生きるのに役に立たないことを
幼い頃から刷り込まれては、
もはや希望を持って何かをやろうとは
なかなか思えません。
そんな気持ちになれば、
有能になることを諦めたくもなります。
そうなると、
有能の可能性を確かめることもないので、
それが周囲には”女性は無能”と
見えてしまうことを助けてしまうのです。
■関心を持つことで改善できるはず
アドラーは、
こんな誤った価値観について、
次のように言っています。
「相手の勇気をくじいて、
または、くじかれた人を見て、
その人が何もできないことを
”正しい”と見てはいけない。
私たちは、
”女性は無能”という誤った偏見という
不幸の全体に責任があることを
認めねばならない。」
つまり、これは、
”女性は無能”という誤った偏見によって
勇気をくじかれたことに、
関心を持ちましょう、ということです。
他者への関心は、
感じるしあわせを増やす”鍵”です。
その”鍵”を使うことで、
感じるしあわせを
皆で増やしていきましょう、
ということです。
そして、
その他者には、
”有能である可能性を持つ自分”も
入ると信じます。
お読みいただき、
ありがとうございます。
プロコーチ１０年目、常楽でした。
