■世界を複雑に見る目的

アルフレッド・アドラー
拠点をアメリカへ移した後の
ウィーンでの仕事を引き継いだのが
リディア・ジッハーです。

ジッハーは次のように
言っています。

「この世界は
本当にシンプル(簡素)だが、
それに神経症的な
意味づけをするがゆえに、
この世界は複雑なものになる。」


この世界の構造は
本来、簡素なものです。

簡素な構造のこの世界を
そのままに生きようとすると
課題に直面して
そこに困難を感じます。

そこで勇気を使って
困難に立ち向かうことで
課題克服の方向へと進み、
やがて克服できると
感じるしあわせが増えるのです。

今まで直面していた課題は消え、
次の課題に直面したら
再び勇気を使って困難に立ち向かい、
やがて克服していくことで
その課題も消えていきます。

その繰り返しなので
簡素、というわけです。

課題を克服すると
「感じるしあわせが増える」という
利益を享受することができ、
課題克服のたびに
感じるしあわせは
増えていきますから、
課題はただ困難で嫌なものではなく
課題=しあわせの素、と
考えることができます。

手軽にこの世界を生きる、とは
この流れの通りに生きる
ということです。

他に特別に考えることは
ありません。

しかし、
その過程にある「困難」に
勇気を使って
立ち向かいたくない
と思うと
この流れの通りに
生きられなくなります。

そこで、
「困難」に立ち向かわずに
済ませるために
神経症的な意味づけ
利用するわけです。

■神経症的な意味づけ

神経症的な意味づけ
特徴としては
「とてもやりたいけど
どうしてもできない」
という被害者的な状況

なろうとすることです。

その行動としては
・他者を支配しようとする
・他者に依存しようとする
・人生の課題を避けようとする

の3つがあがります。

その心理としては
・自分には能力がないと思う
・他者は自分の敵だと思う

の2つの思いがあります。

そうして、
混乱が混乱を呼ぶかのように
することで、
勇気を使って困難に立ち向かわずに
済ませようとしているのです。

しかし当然ですが
この世界に神経症的な意味づけをして
課題の克服せずにいれば
「困難に立ち向かわない」という利益
だけは得られますが、
課題克服の先にある
「感じるしあわせが増える」という利益
は得られません。

また、その避けている課題は
克服するとなくなりますが、
避けている限りなくなりません。

課題を避ける生き方は
「自分は困難に立ち向かわない」を
常に選んでいるといううしろめたさ

ずっと感じ続けることになります。

■神経症的をひっくり返す

健康な生き方をするには
簡素なこの世界を
そのままに生きること
です。

その方法は
神経症的な意味づけを
ひっくり返す
ことで
見えてきます。

行動としては
・他者を支配しない
・他者に依存しない
・人生の課題を避けない

の3つです。

「他者を支配しない」とは
他者との関係を
上下関係ではなく対等な関係
することで実現します。

「他者に依存しない」とは
自分の課題を他者に肩代わり
させようとせずに、
自分で取り組むことです。

つまり「自立」です。

自分の力が及ばないと感じたら
他者に助けを求めること
「自立」に含まれます。

そして、
「人生の課題を避けない」
人生の課題に
向き合おうとすることです。

アルフレッド・アドラー
人生の課題とは対人関係だと
言っています。

対人関係を良好なものに
していこうと力を注ぐことです。

そしてその対人関係は
3種類と言っています。

①仕事の課題
②交友の課題(ともだち)
③愛の課題(家族)


それぞれに、
良好な関係を築いていこうとする、
ということです。

また、心理としては
・自分には能力がある
・他者は自分の仲間だ

と思ってみることです。

「自分には能力がある」とは
自分のできることを見る、
ということです。

課題を避けようとするときは
自分のできない面を見る方が
避けることに役立ちます
が、
課題に向き合おうとするときは
自分のできる面を見る方が
向き合うことに役立ちます


できなければ
課題を避けるしかなくなりますが
少しでもできることがあるなら
課題もできることから
取り組むことができます。

「他者は自分の仲間だ」とは
他者を敵・味方に分けて
排除するのではなく、
他者は皆、自分の仲間と思うことです。

都合が悪くなるたびに
相手を敵と扱って排除すると、
課題で困難を感じる度に
相手を排除
してしまうことになります。

つまり、
他者を敵・味方に分けることは
課題を避けることに
都合よく利用できて
しまうことになるわけです。

■シンプルに生きる

簡素な構造のこの世界を
手軽に生きるには
神経症的な意味づけを
ひっくり返す
ことです。

ひっくり返すと、
行動としては次の3つです。

・他者と対等な関係を持つ
・自立する
・人生の課題に向き合う


心理としては次の2つです。

・自分には能力があると思う
・他者は自分の仲間と思う


あとは課題に感じる困難に
勇気を使って立ち向かうことです。

その勇気とは
誰でもいつでも使える
心の力です。





お読みいただき、
ありがとうございます。

プロコーチ9年目、常楽でした。




勇気とは、共同体感覚を下げずに困難を克服する決意のこと
勇気は「所有」ではなく「使用」するもの
勇気を持てるのは、貢献を確信したとき
他人を喜ばせる必要はない