■セルフチェックを活用

自分が子を持つ親となって
子育てしていく中で
「教育すること」に
取り組んでいくことでしょう。

その際に
子にばかり注目して
自分自身を棚にあげてしまうと
子との信頼関係が
しっかりと築くことが困難になります。

そんなときに
親が自分をととのえるために
チェックすると役立つ項目があります。


■4つの項目

アルフレッド・アドラーは
「教育の目的は
社会に適応させること」と
言っています。

ということは
まず最初にチェックすべきは
「親の自分が社会に適応しているか」
です。

その項目は
行動面が2つ、
心理面が2つの
計4つです。

行動面はこの2つ。
・自立する
・社会に調和する

心理面は
行動面を支えるもので
この2つ。
・自分には能力がある感覚
・他人は自分の仲間である感覚


■自立する

自立する、とは
経済的にも、心理的にも、です。

経済的な自立とは
自分の生活費を
自分で調達できる状態に
なっていることです。

一方で心理的な自立とは
ちょっと抽象的ですが
「支援される側から
支援する側になっている状態」です。

例えば
簡単に怒る人は
「怒ること」で相手を動かして
自分の望む状態を
手に入れようとする人なので
「支援される側」にいます。

反対に
相手が怒っていたりしても
自分の怒りの感情は
感情として感じるだけで、
相手との合意の形成を
あくまで対話によって目指す人は
「支援する側」にいます。

お金をたくさん持っていても
「相手より自分優先」な行動をする人が
依存的に見えるのは、このためです。

さらに
お金をたくさん持っていなくても
何があってもちゃんと話をしてくれる人が
自立しているように見えるのも
このためです。

完全な自立は
その「完全」がわからないので
完璧主義になると大変です。

なので
「自立しよう」と
思い行動し続けることが大切です。


■社会と調和する

「社会」とは
国や地域もそうですが
人の集まる場のことです。

職場や学校、趣味の集まりなどの
特定の目的で集まる場、
友人と自分の間、
さらに家族もそうです。

その場の人々との関係を
良好な関係にしていくことです。

「相手より自分優先」な行為が多いと
調和は乱れやすくなり、
「自分より相手優先」な行為が多いと
調和はととのいやすくなります。

調和していけるように
活動し続ける自分であるかどうかが
大切です。


■自分には能力がある感覚

自分は何もできない
無能な人間ではありません。

誰しも「できる何か」があります。

「自分は無能だ」として
行動を起こさないことなどの理由に
利用したりすることは、

自分の自立や
社会との調和の実現を
遠ざけてしまいます。

映画のヒーローのような
すごいことでなくても
自分を犠牲にしなくても
「自分より相手優先」な行為は
できます。

挨拶されたら
挨拶を返したり、

相手に笑いかけたり
やさしい言葉をかけたり
評価を下さずに話を聞いたり。

家族や友人、
仕事の仲間やお客様などの関係者、
そんな自分とつながりのある人に
役立つことができる自分を
みつけてその感覚を養うことです。

相手の役に立つかどうかは
相手の課題なので、
役に立つと思ってやったことが
実際に役に立ったかどうかを
見ていくことも大切です。


■他人は自分の仲間である感覚

他人が「敵か味方か」であると
「敵」を排除して
自分のまわりには「味方」しか
いない状況にならないと
安心できません。

しかし相手の見える部分だけを見て
「敵」と決めてしまって、
後日その人の違う面を見て
「やっぱり味方だ」と
決定を変えることも
よくある話です。

そもそもともに生きる仲間に
「敵か味方か」としているわけです。

その仲間にもいろいろあって
例えばアドラーの言う「奪う人」や
「支配する人」だと
近くにいると緊張するので
距離を置きたくなります。

「世の中から逃げる人」だと
向こうから遠ざかるので
近づきづらい存在です。

「社会的に有用な人」だと
近くにいると頼もしかったりして
安心できたりします。

「奪う人」だったのに
何かを学んで「社会的に有用な人」に
なることもあるし
「社会的に有用な人」と見えていたけど
実は「支配する人」だったりすることも
あったりします。

過去を振り返れば
いろんな自分がいるように
他人もいろんな人がいます。

距離は違えど
皆、仲間であると感じられる感覚は
自立したり
社会との調和の実現に
役立ちます。


■心の姿勢

アドラーが提唱する
子育ての目標が
これら4つの項目です。

その4つの項目を
完璧に達成することは
困難です。

しかし、達成させようと
意識して活動することは
できます。

忘れてしまうことも
あるかもしれません。

でもたまに親の自分が
これら4つの目標を
形にしようとしているかを
チェックすることは
子の教育に役立ちます。



お読みいただき、
ありがとうございます。

プロコーチ9年目、常楽でした。


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