■「飲酒しない」としあわせになる

仏教には「五戒」という
在家の(出家しない)人向けに
「守るとしあわせになりますよ」
との約束事があります。

五戒だけに5つありますが
今回はその5「不飲酒戒」

「ふおんじゅかい」と読み、
お酒を飲まない
という意味です。


■飲酒とは

仏陀に直接お会いできた頃に
お酒があったかどうかは
わかりません。

でも「お酒を飲まない」ことで
しあわせは増えていくとされています。

これは単に
”アルコール類を飲まない”
という意味ではなく、
「お酒に飲まれない」
「お酒に依存しない」
という意味に読み取れます。

「お酒に飲まれない」とは
酔っ払って正常な応答や判断が
できない状況にはならない、
ということです。

例えば
刑法で飲酒運転はダメと
定められているのは、
飲酒して運転することは
他者にも自分にも危険だからです。

刑法に触れないものでも
酔っ払って普段なら
やらないようなことをして
他人に迷惑をかけることや
一人で放り出すのが危険な
状況になることも、そうです。

車道の真ん中で眠ってしまうとか。

「お酒に依存しない」とは
自分の課題に直面したときに
お酒を飲んで酔うことで
課題をスルーしたりせずに、
その課題に向き合うことです。

例えば
キッチンドランカーは
家族の問題に直面している中で
食事の支度をしようとすると
苦しくなってしまうので、
お酒の力を借りて
やり過ごそうとしたりして
なってしまいます。

一時的ではなく慢性的になると
お酒への耐性がついてくるので
十分な効果を得ようと
お酒の量も増えていき、
やがてはアルコール依存症に
なったりします。

アルコール摂取量が増えていくと
内臓への負担も増えていきます。

健康を崩してしまうと
感じるしあわせは
増えにくくなってしまいます。


■依存より自律に向かう

お酒に限らず
依存症になると
感じるしあわせは
増えにくくなります。

依存症になると
刹那的な快楽を
得ることを繰り返してしまいます。

呼吸や食事は
ないと死んでしまいますが
お酒やタバコは
なくても死にません。

でもお酒やタバコが
ないと生きていけない状況に
なると依存症の状態です。

依存症になると
「相手より自分優先」に
なりがちです。

一定時間お酒やタバコから
離れていると
最優先事項がお酒やタバコに
なります。

そんな状況では
「自分より相手優先」に
なりにくくなります。

他人のことになど
かまっていられずに
自分がお酒やタバコを
することが一番大切に
なるわけですから
当然といえば当然です。

買うお金がなくなると
他人から奪うことも
選択肢に入れるほど、
優先させたい気持ちは
強くなることもあるほどです。


■感じるしあわせ増やすには

アルフレッド・アドラーは
感じるしあわせを増やすなら
「共同体感覚」を高めることだ、と
言っています。

「共同体感覚」は次の3つを
そろえて高めることで
高まります。

①自己受容
②他者信頼
③他者貢献

依存症になると
「依存する自分は悪い自分」と
自分を責めてしまいがちなので
自分を丸ごとOKとすることが
難しくなったりします。

また他人のことにかまっていられず
自分の「不快」を「快」に変えることが
最優先になるので、
その最優先事項を妨げる人は
仲間ではなく「敵」になります。

さらに
そんな「敵」の役に立とうとは
なかなか思えません。

そのため依存症になると
①自己受容
②他者信頼
③他者貢献
これら3つを高めようとすることが
難しくなります。

すなわち
共同体感覚は高まらず
感じるしあわせも
増えにくくなるわけです。

だから「お酒を飲まない」を
現代版に解釈すると
「依存症にならない」や
「お酒などに依存しない」、

すなわち自分の欲を
自分の意識下において
ちゃんと制御しましょう、
ということになります。


■常楽の場合

私自身、30代半ばまで
毎日2箱のタバコをすってた
喫煙依存症でした。

「自分の人生に必要ない」と思い
「タバコをすいたい欲」を
見つめ続けることと
禁煙外来を活用することで
すうのをやめました。

離脱症状みたいな感覚は
ありましたが、
やがてそれも消えました。

すってる頃は
頭ではタバコ嫌なのに
すわずにいられないので
すいます。

そうして
すう度に「自分はなんてダメなんだ」と
責めてました。

でも「すう/すわない」の選択肢が
自分の中から消えた頃には
そんな心の嵐も消えて
平和にすごせるようになりました。

本当に平和に
すごせるようになりました。

なので私には
「不飲酒戒」を守ると
感じるしあわせは増えると
実感があります。




お読みいただき、
ありがとうございます。

プロコーチ8年目、常楽でした。


《関連記事》
「五戒」に学び、しあわせを増やす
性欲に翻弄されない心の置き方
「人生のウソ」に気づくと変わる
所属したい欲と自立の関係
家族の食卓の目的