ケーキ、
甘くておいしいですよね。

そんなケーキであっても、
贈り方によっては
相手を悲しませてしまう。



ケーキを贈るとき
相手はケーキを好むことが
前提になってる。

確認してから贈れたら良いけど
たいてい問題なかったりするから
あまり確認しようと思わない。

ギャンブル性も含みつつ
贈ることになるけど、
そこまで意識が及ばないことも。



10代の頃まで
私はケーキがダメでした。

食べると、気持ち悪くなる...

(今は食べすぎなければ
平気なんですけどね。)



父親が何かの用事で出かけたときに
その利用する駅にケーキ店が
ちょうどよくあって

理由はわからないけど
毎回そこでケーキを買ってくる。

家族にケーキを買ってくることで
良い父親になれると信じているようで

買ってくると毎回
自慢げに「ケーキを買ってきたぞ」と
ケーキの時間に家族全員が
強制参加させられる。

母親やきょうだいは
ケーキ好きらしくて
うれしい時間なので
強制参加ではなくて
積極参加だった。


自分はダメだから
いらない、と不参加を表明するも
家族全員から
「そんなのはダメだ」と
袋叩きにでもされるように
扱われた。



参加しなければいけない理由は
「おとうさんが一生懸命買ってきたから」
「ケーキいらないと言うのは贅沢、
そんな贅沢は許されない」
「お前以外全員参加してるから
その平和を乱すことは許されないから」
「買ったケーキは無料じゃないから」
「お前の分が残るのは許されないから」
「ケーキは今食べないと悪くなるから」
などなど


いくら
「食べたら気持ち悪くなるからいらない」と
伝えても、
「それはおかしい」
「そんなことありえない」
と食べることを強要される。

ケーキを食べて
気持ち悪くなる、という事実が
どうにも理解できない人々だ。



ケーキは
悪くない。

食べると気持ちが悪くなる人は
ケーキを食べようと思わない。

買ってきたケーキを
食べないことを悪とされるのは
自分の思い通りにならないお前は悪だ
と言われているに等しい。

当時、それが見えたのは
家族の中で自分だけだった。



悪として孤立し続けるのも
辛かったので、我慢して食べた。

そして、気持ち悪くなる...

なんとかしようと
お茶や水をたくさん飲んでみたり
お茶漬けやカップラーメンを食べたりして
ごまかしていた。

家族は、そんな自分を見て
「ケーキの後にそんなの食べて、おかしいね」
と嘲笑してた。



ある時、いい加減察したようで、
「そのケーキが悪いんだな。
気持ち悪くならないケーキは何?」
と父親が訊いてきた。

は?
ケーキがダメだって
いってんだろ、このやろう!
人の話をきけ!
食べてもないもの、わかるわけないだろう!
って気持ちだけど

言うとまた家族から袋叩きにあうので
「わからない。プリンとかかな?」
と答えてみた。

「プリンはケーキじゃないよ。
ちゃんとおしえて」と父親。

もう心のエネルギーはゼロで
怒る力もないので、
適当に大丈夫そうな
チーズケーキ、と答えてみた。



すると父親は
意気揚々とまたケーキを買ってきた。

「今度は気持ちわるくならないよ」

は?何を根拠に?

「お前が大丈夫と言ったケーキを
買ってきたよ。」

この人、本当に理解する気が
ないんだな...
本当に自分の都合だけだ...


食べないと
また袋叩きなので
お茶漬けとカップラーメンを
あることを確認して食べた。

...やっぱり気持ち悪くなった。



何年こんなことが続いたんだろう?

5~10年の間、毎月1回はあった。

高校生になった頃、
いいかげんにわかってもらえない状況に
憤怒爆発。



もう
どうなってもいいから
ケーキは食べない、と
ケーキの時間の参加を拒否した。

「ねえ、おとうさんが買ってきた
ケーキを食べよう」
「せっかく買ってきてくれたから
食べないのは悪いことだよ」
「買ってきてくれた人の気持ちを
考えたら、食べないといけないよ」

親が悲しむ
子にとってそれはつらいこと。

その「親が悲しむ」を行使されて
今まで不本意ながら自己犠牲の上で
参加してきた。

でも、もうやだ。
だから不参加。
何言われても不参加。



そしたら
そこまで嫌なことだと
感じたようだった。


でも、そんなことがあっても
父親はまたケーキを買ってきた。

「家族に一人だけ
ケーキがないなんて
そんなひどいことはできないよ」

父親は
自分てすげえだろ
みたいな顔して
言ってくれた。

は?
気持ち悪くなるのをわかってて
ケーキをたべさせようとする方が
ひどいでしょ。

そんなの伝わらないし
理解する気もない人々なので
また食べる食べないで
もめないといけなくなる。

本人の意思なんかより
自分の都合がどうしても優先したくなる親。



それでも拒否し続け
ケーキをプリンに変えたりしてきたけど
拒否はもう変えずにいた。

家族からの非難の集中砲火は
悲しかったけど、
これ以上の自己犠牲の方が
もっとイヤだから、ケーキは食べない。



私に割り当てるケーキだけ
買わないようになるのに
1年くらいかかった。

その後は
ケーキを買ってくること自体が
なくなった。



一家団欒を乱すのは、悪。

でも一家団欒の定義を
親だけがしたら、
本当の一家団欒にはならない。



平和は
相手も、自分も、安心できないと
成立しない。

ケーキひとつでも
やり方次第で
平和にもなるし、
平和が乱れることにも
なりますね。




お読みいただき、
ありがとうございます。

プロコーチ7年目、常楽でした。


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