先回、「一般形103系の破損事故」として2件の失敗事例を挙げました。

シンナープールで破断してしまった「一般形 モハ103」の写真で、観察力の鋭い方は直ぐお気付きになったと思いますが、本来はモーター付のM車仕様なのに車内に動力ユニットの姿がありません。でも床下機器は当該製品のモハ103用だし・・・・。

 

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この車両が、実はモハ103のT車仕様になっています。一般形103系製品のモハ103とクモハ103には、モーター付しかありません。

 

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長年に亘る生産で設計変更による動力ユニットの形状も変化しており、この車両には写真の手前側にある動力ユニットが搭載されていました。奥側は新103系の動力ユニットです。


この車両の運用(使用)頻度が高く、少々くたびれて走行性能が劣化してきました。新103系用の動力ユニットが簡単に交換できれば良いのですが、前々回の「一般形103系の分解方法」で述べたように構造が全く異なるため、装着は容易ではありません(最近のKOKUDENと呼称する製品であれば新103系用が装着できます)。7両編成で運用するには、Mユニットを2組連結することになります。そこでM車は他の車両とすることにして、このモハ103はMなし仕様に変更することにしました。

 

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簡単に済ませるならばモーターや伝導ギヤを抜けば実現できますが、動力ユニットとしてのウエイト重量がありますので、T車用の軽量な床板が欲しくなります。T車仕様のモハ102の床板では床下機器形状が違います。手前側がモハ103の床板(M車仕様)、奥側がモハ102の床板(T車仕様)です。(共に一般形)

 

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一番手前が加工が済んだモハ103のT車用床板、中程がモハ103の床板(M車仕様)、奥側がモハ102の床板(T車仕様)です。床板の車体に差し込まれる上面側の構造は同一ですが、台車の取付部の構造が全く異なります。そこで、床下機器のある中央部分は中程のモハ103用を使用、台車の取付部は奥側のモハ102用を使用し、それぞれ切断して繋ぎ合わせることにしました(保守用に確保している部品を活用)。切断箇所は、モハ102の台車取付部は台車の回転止めを生かすので車端から約28mmで、また全長(127mm)を揃える必要があるため、モハ103は中央寄りから動力台車部分の大穴が始まる箇所(丸穴2個部分を残す)としました。
 
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接合したとき床下面を揃える必要がありますが、切断箇所の厚みがモハ103の方が約0.5mm厚くなっています。そこで0.5mm厚のプラ板を5mm×17mmに切り出してモハ102の上面に貼付けることで接合部の厚さを揃えました。モハ103の中央部と突合せ接着剤を流します。更に、この接合部分の補強のために0.5mm厚のプラ板を10mm×17mmに切り出して双方に跨るように上から貼り付けています。

 

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ウエイト、座席パーツはT車用がそのまま嵌ります。台車はピン止めのDT33を履かせて、一般形モハ103のT車化が完成しました。


次回も103系ネタの予定です。暫しお付き合い下さい。

 

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