『大人のギャザリング』ライフナビゲーター・田村ゆかりです。
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東京や大阪、京都・兵庫などは、3度目となる緊急事態宣言を受け
美術館はほとんど4月25日から当面の間、休館となってしまっていて残念なことです
幸いにも宣言の出される前日の4月24日
【あやしい絵展】のアートギャザリング2回目を開催し
後期展示作品を参加者の皆さまと鑑賞してくることができました
前回【開催レポその3】で
『岡本神草』の絵『口紅』は後期展示で個人的には一番お薦め!
と書きましたね。
私は、京都が好きでよくあちらの美術館なども訪れるのですが
2017年に京都国立近代美術館で開催された【岡本神草の時代展】で
この『口紅』を観ていて
しばらくこの絵の前から動けなくて
じ~っと佇んで見続けていた覚えがあります。
先日『岡本神草』のことを色々調べていたとき
『口紅』を大学時代に観て衝撃を受けてその後
『岡本神草』の研究を何十年にもわたって続けている
日本近代美術史研究家の方の話を読みました。
それほどまでに、この絵には妖しく抗いがたい魅力があると思います。
『口紅』は『岡本神草』が23歳の頃に描いた絵です。
日本は大正時代、ヨーロッパでは”耽美主義”が芸術の思潮となり始め
それが日本でも文学や絵画に影響を及ぼしていた頃です。
ちょうど、この【あやしい絵展】でも展示されている
『オーブリー・ビアズリー』の絵や
『オスカー・ワイルド』の書いた『サロメ』
『谷崎潤一郎』なども
この”耽美主義”の代表的な芸術家たちです。
『口紅』に描かれた若い舞妓の
匂い立つような白い肌と赤い口紅の対比
黒髪と口紅の赤の対比
着物の赤と黒の対比
妖しい色気の漂う舞妓は
どんな風に男を惹きつけるのかをよく知っているような
したたかさも感じさせる
エロティックとも怖いとも思える
なんとも不思議な表情をしています
彼女の内面には、どんな心情が渦巻いているのでしょうか…
因みに、調べていたらこの舞妓の持つコンパクトのように見えるのは
「紅板」と呼ばれるもので
江戸時代からある”携帯用紅入れ”なのだそうです。
※私が白い丸で囲った部分が『紅板』です!解りますか?
この紅板の文様は組香の一種である「源氏香」の中でも
”源氏香之図”と呼ばれる図形の中で
『源氏物語 二十三巻~初音』を現す図形だそうで
時候は「正月」
となると、この絵はもしかしたら
”新春のお座敷に出る舞妓”を描いたものなのかもしれませんね
この【あやしい絵展】の会期は予定では5月26日まで。
※その後7月からは大阪で開催されます。
緊急事態宣言が解けて、無事に美術館が再開したら
是非、観に行かれてみてください!この【後期展】に関しても、もう1点
『上村松園』の作品についてご紹介したいので続きます~(笑)
最後までお読みいただきありがとうございました。スピリチュアル雑誌『anemone』2021新年号に掲載されました