人生を生き抜くこと~「サラの鍵」を観て | 本音で生きる人生の愉しみ方~ライフナビゲーション

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ものすごく久しぶりにブログを書いている。


数年前から初めているmixiさえも、とんとご無沙汰だ。




8月以来、引越し・転職と立て続けに大きな動きがあり


書くという行為にじっくり取り組みたい私としては


あまりにも日常での ”書く” 時間が少なくなった、というのが理由だ。


(とはいえ、イベントやWSに参加したり、友人と遊ぶということはキチンとこなしてはいたのだが・・・苦笑)






そんな中で、昨夜久々に映画館に独りで足を運んだ。




観た作品は「サラの鍵」


原作は世界的にベストセラーとなった小説らしい(私は知らなかったが、日本でも一昨年刊行されている)。




第二次世界大戦の頃、フランス国内で大々的に国を挙げて行われた


ユダヤ人迫害事件”ヴェル・ディヴ事件”


フランス在住のユダヤ人の多くを、突如一斉検挙し


ヴェル・ディヴと呼ばれる巨大な冬季競輪場に数日間、水・食料・トイレすら無いまま留め置かれ


その後収容所に移送されていったという事件なのだそうだ。




パンフレットによれば、1995年にシラク大統領がこの”国家における責任”を承認し


この検挙の日が”ユダヤ人迫害の日”と制定されているらしい。




物語は、そんな時代に生きたユダヤ人の少女の足跡と


60数年たってそのことを偶然に見つけて


調査を重ねていく女性ジャーナリストの姿が交差するように描かれる。






少女のサラは恐らく7~8歳、弟のミシェルは3~4歳ほど


両親と暮らすパリのアパートに、ある日突如訪ねてくる警察


サラは咄嗟に弟を衣装戸棚に隠し、鍵をかける。


「すぐ戻るから、私がいいと云うまで絶対に出ちゃダメよ」と・・・




そのまま両親と共にヴェル・ディブに連行され


その1週間ほど後に収容所へ送られた家族


父は別の場所へ、母とも引き離されたサラ


けれども彼女の頭の中にあるのは


残してきた弟を助けに戻ることだけだ。




彼女のユダヤの星の着いた洋服のポケットにいつも入れられている”戸棚の鍵”




収容所で同じ年頃の女の子と親しくなり、数日して脱走を図るサラ


彼女の強い意志と運命がいくつにも重なって


逃げ延び、農家の夫婦に匿われ、


1~2ヶ月たった頃、ようやくその夫婦の息子として変装しながら


列車を乗り継いでマレ地区のアパートに辿り着く


そこで見たのは・・・






映画は具体的な映像ではなく


象徴的なものを写すことによって、地獄を見せる。




競輪場の巨大な円形の連なるベンチに横たわる人々


その足元に積みあがる糞の山


収容所で、水をかけられて転んだサラの手の中から転がり出た鍵


それを這って拾おうとしたサラの細い手を踏みにじる黒く長い軍靴




けれどもそこにはいつも


弟を助ける、というサラの強い意志のある眼差しがあった。


真っ直ぐに相手を見つめ


時に大人をもたじろがせるほどの・・・




そしてアパートに辿り着いたサラの


その後の人生も(原作には無かったようだが)映画は描く。




美しい女性に成長した彼女の


笑顔になりきれないような笑顔


初めて海を見た彼女の


淋しげな切なげな表情




夫と子供を残し


雨の日に独り車を走らせて


意を決したように対向車線に疾走していくサラの車






そういう事柄を


自らの置かれた”人生の選択”の狭間で


辛い真実を敢えて追求し続けていく現代のジャーナリストの女性




映画は


その彼女がある人と出逢い


サラの人生を自分が忘れないためにある選択をしたことを


さらりとその人に告げたところで終わる








「知る」という行為は


時に残酷だ。




知ってしまえば、知らずにいた時には二度と戻れない。




それでも人は真実を知りたいと願い


誰かと深い関わりを持ちたいと望み


喜びの中で


哀しみの中で


人生を生き抜いていく






だがしかし・・・




どうしても生き抜いていけないほどの体験をする人も


この世にはたくさんいるのだ






宗教や思想や肌の色や


そんな違いで憎みあうことの


なんと哀しいことなのか






この映画の主演の女優は


クリスティン・スコット・トーマス


「イングリッシュ・ペイシェント」や「フォー・ウェディング」などで


硬質な美しさを見せる理知的な瞳の印象的な、私の好きな女優さんだ。






見終わった後に


とても暗い気持ちを引きずってしまうのでは?と懸念したが


淡々と最寄駅に着くことができた。




だが、そのまま家に帰る気はせず


近所の馴染みの店でビールとワインを飲みながら


映画のパンフレットをじっくり読んで食事をして帰った。






その夜


クロスの形をしたラピスラズリを枕の下に入れて眠った。




明け方、夢を見た・・・




そして思ったのだ










私はわたしの人生をきちんと生き抜いていこう


と・・・






















月のかけら~心の揺れを感じとる-ラピスラズリ