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「国語教室 Hey Ho」安藤友里のブログ

「国語教室 Hey Ho」代表の安藤が、思ったこと・考えたことを綴ります。「文章力をつける」教室を開いているのだから、自分も文章を鍛えないと、と思って書いてます。

続いて小学3・4年生の感想文についてです。

初めてこのブログを読んでくださる方は、
↓の基本的な考え方をご確認くださるとありがたいですニコニコ


3・4年生用の課題図書も、今年は絵本が2冊入っています。


『聞いて 聞いて! 音と耳のはなし』
文:高津修・遠藤義人/絵:長崎訓子
(福音館書店)

音はどうやって聞こえてるの? 

音って目に見えないけど何なの?
そんなふうに問いかけながら、

耳の働きと「聞こえる」仕組みを、

分かりやすく説明した絵本です。

絵本ですが内容的にはかなり高度で、

身体の仕組みに興味のあるお子さんにオススメです。

世代間で聞こえる音が違うとか、

同じ音も遠さで違って聞こえるとか、

簡単な実験をして、その結果を入れながら書くと、

しっかりした感想文になりそうです耳

『さよなら プラスチック・ストロー』
文:ディー・ロミート/絵:ズユェ・チェン/訳:千葉茂樹
(光村教育図書)

レジ袋やプラスチックのコップが問題になっていることを

お子さんは知っていますか?

便利なストローだけど、

海の生き物への影響などから、

今は使わないようにしようと言われています。

ストローの歴史から始まり、

なぜ問題になってきたのかが詳しく描かれています。

3・4年生なら、地球環境やSDGsについて考える始めるといい学年ですよね。

今まであまりお家で話題にしたことがなければ、

これをきっかけに話をしたり調べたりしてはいかがでしょうか。

そしてその報告を感想文に書くと、文字数もバッチリだと思いますOK


『じゅげむの夏』
作:最上一平/絵:マメ イケダ
(佼成出版社)

3・4年生は友達と遊ぶのが楽しくなり、

ちょっとした「冒険」をしたくなる年頃。そんな日常が生き生きと描かれています。

主人公がいつも一緒に遊んでる4人組には、

筋ジストロフィーの子もいます。

大人は余計なことを考えてしまいそうだけど、

子どもはいたってシンプル。

目の前の事実だけを見て行動します。

仲の良い友達とよく外遊びをしている子は

主人公たちの冒険を自分と重ねて、

病気や障がいを持つ兄弟や友達のいる子は

自分の体験やその時に感じたことを

書くといいと思います。

毎日習いごとで忙しかったり、

友達ともゲームで遊ぶだけというお子さんは、

「もし自分だったら〜」だけでは厳しいので他の本にした方がよさそうですほんわか


『いつかの約束1945』
作:山本悦子/絵:平澤朋子
(岩崎書店)

主人公の女の子が友達と歩いていると、

泣いているおばあさんがいます悲しい
2人が声を掛けると、

「おばあちゃん」ではなく9歳だと言い張ります。

タイトルの1945から想像できる通り、

子どもの頃に戦争を経験したおばあさんなのですが、

女の子達はそうと分からず……あんぐり

戦争の話を聞いたり調べたりして、

それをベースに書くのが正当法かと思います。

ただ、それだけなら、あまり個性が出ないし、

今の小学生にとって「道徳」になってしまいそうです。

字数も足りないかもしれません。

高齢者との関わりや大事な思い出についてなど、

戦争の話にプラスできる何かを書けるといいですね鉛筆


星今年の4冊は、似た話を書くのが難しそうです。

描かれているテーマのことを「知る」きっかけにはできるけど、

これまで自分が体験したことの中にはない……

ということになりそうです。

調べたり親子で話し合ったりするのが一番ですが、

余裕がなく課題図書でなくてもいいなら、

他の本にした方が無難かも。

3・4年生なら伝記もいいし、好きな分野の本でもいいですね。

この年代で一番優先したいのは、

読書の習慣を付けることと

知らないことを知って、

さらに興味を広げる楽しさを体感すること。

読書に限らず、勉強ってそんな楽しさがあることを

ゆっくり一つのことに集中できる夏休みにこそ体験してほしいと思います。

親ができるのは、その機会作りと

困った時のサポートですウインク



前回の投稿で「読書感想文」自体への疑問を書いてしまいましたが、

そうは言っても現実には宿題で

書いて出すしかないんですよねキョロキョロ

 

そこで、課題図書それぞれの内容と

どんなお子さんに向いているか、

もし課題図書以外なら?という視点からも

紹介していきたいと思います。

 

まずは小学校低学年の課題図書です。

『どうやってできるの?チョコレート』
写真:田村孝介ほか (ひさかたチャイルド)

チョコレートは好きなお子さんが多いですよね?
でもチョコレートの元がカカオの実だということは、

1・2年生はまだ知らないかも。
この絵本には、実物大のカカオが載っていたり、

工場での過程が細かく図式されていたり、

チョコレートがどうやって作られるのか

興味を持ちやすく構成された絵本です。

板チョコを溶かして作るおやつのレシピもあるので、

実際に作ってみて、その感想を合わせて書くと良い感想文になりそうニコニコ

チョコレート工場に見学に行くとか、他のお菓子の作り方も調べてみるとか、

話題を広げると書きやすいと思います。

『おちびさんじゃないよ』
ぶん:マヤ・マイヤーズ/え:へウォン・ユン/やく:まえざわあきえ
(イマジネイション・プラス)

主人公は背が小さめの女の子、テンちゃん。

みんなに「おチビさん」と呼ばれるのが大嫌いでした。

ある日、自分と同じくらいの身長の男の子が転校してきて……驚き

見た目で人の呼び方を決めてしまうことや、

周りと比べることへの疑問に気付けたら、

低学年なりの素直なことばで書いてみたいですね。

また、勇気を出した経験や、出さなきゃいけない時って?

なども話を広げて書けそうです。

『アザラシのアニュー』
作:あずみ虫  (童心社)

北極の海で生まれたタテゴトアザラシの赤ちゃん。

たった2週間で母アザラシと離れ、

1人で生きていかなければなりませんぐすん
ドキドキすることや、他の海の生き物たちとの出会いなど、

大冒険の様子が鮮やかな絵とともに描かれています。
1年生なら、お母さんと離れる不安や冒険のワクワクドキドキを、

自分だったら?と考えてみるといいですね。
巻末にはアザラシの特徴や、

なぜ「タテゴトアザラシ」という名前なのか、

さらにはタテゴトアザラシの生息地が温暖化によって狭まってきていることなども書かれています。

2年生は、こんな所も参考にして、

知っていることや聞いた話、

水族館で見たアザラシとの比較など

お子さんの個性が表れた作品ができそうです。

『ごめんね でてこい』
作・絵:ささきみお  (文研出版)

今年の低学年用は児童書はこの1冊だけで、他3冊はすべて絵本です。

長いお話の方が書く題材が多い気がしますが、実はそうとは限りません。
この本は、おばあちゃんにひどいことを言ってしまったまま

離れてしまい、おばあちゃんが病気になってしまった女の子が主人公。

お友だちとのことも関係していて、ちょっと複雑な気持ちになってしまいます。

そんなモヤモヤを言葉にするのは、1年生には難しそうですうさぎのぬいぐるみ

「ごめんなさい」がなかなか言えずに困った経験や、

祖父母と気持ちがすれ違い、悲しい思いをしたことがあるお子さんは

その時のことを思い出して書くといいですね。

 

星課題図書は以上4点ですが、

この年齢では、自分が主人公の立場になって

お話に入れないと感想文は難しいです。

今年の本は、誰にでも身近にある内容が少ないので、

「もし自分だったら?」

「自分もこの○○のようなことがあった!」

と思えるような、好きな本で書いてもいいと思います。

(学校によって規定が違うので、対象の本は確認してくださいね)

 

電球絵本は、大人と子どもでは読み方が違います。

子どもは、物語の主な流れとは関係のない

ちょっとした描写に気付くことがよくあります。

大人はそれを「関係ない」と切り捨ててしまいがちですが、

感想文を書くときには、ぜひそれを拾ってあげてください。

そこに気付いたお子さんだからこその作品になるからです。

メインテーマとか、作品の主旨とか、そんなのどうでもいいんです笑

お子さんが気になったことを文章で表現できる、

それを家族が楽しんで読んでくれるにっこり

その嬉しさが「感想文」を頑張った意義だと思いますニコニコ



 

 

今年もこの季節です花火

 

普段ちっともブログを書けていないから、

夏休みの読書感想文ネタが、

投稿済みの割合としては多くなってしまい

この季節になると古い記事まで読んでいただくことが多いです。

 

私自身は、読書感想文なんて無くなればいいと思っているしびっくり

生徒さんたちに「上手く」書いてもらおうとしているわけではないのですが、

どうせしなきゃいけないなら、

家庭内(親子・家族)が平和に、

子どもにとって本と親しみ、

自分の感じたことや考えたことを表現する楽しさを経験する機会になればいいニコ

との思いで、

毎年、読書感想文講座をしたりブログを書いたりしています。

詳しくは↓(5年前の投稿ですが手直しもしており、分かりやすいと思います)

 

 

 

そして毎年、課題図書に選ばれる本は

とても内容が濃くて読み応えがあります。

こういう本を子どもたちに読んでほしい、

いろんな視点から感じることがあるだろうな、

と思う本ばかりで、実は私も読むのを楽しみにしています。

 

国語教室HeyHoを始めて今年で8年目になり、

毎年、小中学校対象の計15冊を読んでいるのですが、

今年は!???

本の傾向が変わったように感じました。

ここ数年の「書き方」では厳しそうなのです。。。

 

何が?どう?という詳細を次回から学年ごとに書いていきます。

結論だけ知りたい、という方は

すみませんが5回後くらいのブログをお待ちくださいお願い


https://kokugo-heyho.com