――――――――――――――――――――――― ■年収1000万円なら減価償却して売却? ☆2024年5月27日発行 ――――――――――――――――――――――― こんにちは!「ゆめたか大家」と申します。 個人の不動賃貸業の確定申告につき 業務的規模(5棟10室未満) についてもまとめました。 「収支管理・確定申告編」 https://scene-ex.jp/L2485/b0/2t7331 ゆめたか大家のKindle作品一覧はこちらです。 https://scene-ex.jp/L2485/b0/3t7331 ゆめたか大家の今までの道のりはこちらです。 https://scene-ex.jp/L2485/b0/4t7331 ――――――――――――――――――――――― ■本文 ――――――――――――――――――――――― 今回は 「年収1000万円なら減価償却して売却?」 と題して 注意喚起を交えた計算をしてみたいと思います。 これは 耐用年数を超えた木造物件は 4年で減価償却できるため節税になり また個人で物件を売却した場合は 所有期間が5年を超えていれば税率が20%と低い。 という税制を利用した 節税および投資法として宣伝されていますが これは果たしてどうなのでしょうか? まず最初に課税所得が1800万円以上で 所得税住民税の税率が50%の場合を計算します。 ちなみに年収2000万円のサラリーマンであっても 社会保険控除164万円 給与所得控除195万円 基礎控除48万円のため 課税所得は1593万円であり 課税所得1800万円には届きません。 年収2200万円のサラリーマンなら 課税所得は1793万円であり ほぼ課税所得1800万円になりますが 減価償却後も課税所得が1800万円以上となると もっと年収が高くないといけません。 そして減価償却の期間についてですが これは事実上、任意に伸ばす事ができます。 「減価償却期間の延長の詳細」 https://scene-ex.jp/L2485/b0/5t7331 そこで今回は 耐用年数を超えた木造物件を6年で減価償却して 6年後に売却するシナリオで計算をしてみます。 個人で 物件保有時の減価償却後の課税所得が 1800万円以上(税率50%)で 減価償却6年、所有期間6年で売却して 譲渡(売却)の税率が20%なら 減価償却については 税率50%と税率20%の差の30%が プラスになります。 例えば5000万円の物件について 建物4000万円、土地1000万円として減価償却し 売却時に5000万円で売れれば 建物4000万円×30%=1200万円 のプラスになります。 物件取得時の諸費用5000万×10%=500万 物件売却時の諸費用5000万×5%=250万 合計500万+250万=750万円を引いても 1200万-750万=450万円 のプラスになります。 だからこの場合は 建物価格を高くして減価償却して売却する方法は 一応、有効という計算になります。 しかし以上の内訳をよく見てみると 1200万円のプラスのうち 450万円(37.5%)は大家の財布に入りますが 750万円(62.5%)は諸費用に取られるので 結局、儲かっているのは ・仲介業者(仲介手数料) ・金融機関(融資手数料、金利、違約金) ・司法書士(物件登記および抵当権設定手数料) ・国・自治体(登録免許税、不動産取得税) なのです。 だから一部の不動産業者は楽待に広告を出して 【年収1,000万円以上の方限定】 Amazon1位の書籍を無料プレゼント! のような宣伝をするのです。 ところで先ほどの計算は 課税所得が1800万円以上 つまりサラリーマンとして年収2200万円以上 の場合の計算でした。 では年収1000万円の場合は どうなるのでしょうか? サラリーマンとして年収1000万円の場合は 社会保険控除125万円 給与所得控除195万円 基礎控除48万円のため 課税所得は632万円であり この場合の所得税住民税の税率は30%です。 個人で 物件保有時の減価償却後の税率が30%で 減価償却6年、所有期間6年で売却して 譲渡(売却)の税率が20%なら 減価償却については 税率30%と税率20%の差の10%が プラスになります。 だから5000万円の物件について 建物4000万円、土地1000万円として減価償却し 売却時に5000万円で売れれば 建物4000万円×10%=400万円 のプラスになります。 しかしこの場合は 物件取得時の諸費用5000万×10%=500万 物件売却時の諸費用5000万×5%=250万 合計500万+250万=750万円を引くと 400万-750万=マイナス350万円 となってしまうのです。 つまり年収1000万円では 建物価格を高くして減価償却して売却する方法は マイナスになってしまうのです。 ちなみに年収が1500万円の場合は 所得税住民税43%ですので 税率43%と税率20%の差の23%が プラスになります。 だから5000万円の物件について 建物4000万円、土地1000万円として減価償却し 売却時に5000万円で売れれば 建物4000万円×23%=860万円 のプラスになります。 しかしこの場合も 物件取得時の諸費用5000万×10%=500万 物件売却時の諸費用5000万×5%=250万 合計500万+250万=750万円を引くと 860万-750万=110万円となり ほぼトントンになってしまうのです。 この場合は 860万円の87%に当たる750万円が 諸費用に消えてしまうのにご注目下さい。 【今回の結果】 建物価格を大きくして 6年で減価償却して6年後に売るとして計算。 ・年収1300万円(課税所得約900万円)未満 この場合はマイナスになる。 ・年収1300万円(課税所得約900万円)以上 この場合はプラスになるが プラス分の9割近くが諸費用に消え、ほぼトントン。 ・年収2200万円(課税所得約1800万円)以上 この場合はプラスになるが プラス分の6割以上が諸費用に消える。 今回は 「年収1000万円なら減価償却して売却?」 と題して 注意喚起を交えた計算をしてみました。 年収1000万円以上というのは サラリーマンとしては上位5.4%だそうですが それくらいではまだ節税は早いのです。 また今回の計算においては 「年収〇〇万円以上」と書きましたが 減価償却によって課税所得が減りますので 本当はもっと年収が高くないといけません。 また今回の計算は 不動産所得がマイナスの時は 土地取得分の利子が経費にならない等の 細部は省略しており また売却までの家賃も 計算に入れていないのですが 物件保有時と物件売却時における 減価償却の影響を説明するため このような計算をさせていただきました。 今回の内容が参考になりましたら 以下を応援いただければ幸いです。 https://scene-ex.jp/L2485/b0/6t7331