“不死身”を“倒す”となると、その時点で“常識的な殺害方法”で考えるのをやめ、
不死身が通用しないやり方でいくか、弱点を設定しておかないと埒が明きません。
弱点を設定する場合は、そのヒントにつながるような伏線を話の中でキチンと描写して
おかないと、不死身を倒す展開が不自然になってしまいます。
その傾向さえ把握していれば、不死身であることがバレた時点で、その先の展開を読むのは
さほど難しいことではありません。それはもちろんメタ(≒客目線)的な意味だけでなく、
キャラ(登場人物)目線で見ても同じことですので、不死身の強敵を演出するには、
むしろ“不死身であること”を“悟られないように”
少なくともキャラ目線では原則そのように振る舞うことが肝要であると考えます。
『甲賀忍法帖』の薬師寺天膳も2度目に戦った相手はほぼ必ず仕留めてましたからね。
「バレないように」なんてみみっちい話になってしまいましたが、倒す必要の無いホラーや
ギャグならともかく、物語的に考えれば、不死身はリスクの方がデカいのかもしれません。
このように不死身は、バレた時点である程度展開が読めてしまうわけですが、
その予想を上回る話にするとなると弱点も何も無い完全無欠の不死身に
するしかないわけですが、そうするともう不死身を倒すには“その2”しかありません。
倒し方その2、『永遠の中に閉じ込める』
多分これだけじゃあナニ言ってるか分からないでしょうが、
↓コレなら一発で分かると思います。
『永遠の中に閉じ込める』オチで自分が真っ先に思い浮かぶのはコレなんですが、
多くの人が言われて一番ピンとくるのもコレなんじゃあないかと思います。
不死身の特性を逆手に取った…と言えば聞こえはいいかもしれませんが、
他にもうどうしようもないってのが実情ではないでしょうか?
“倒す”となると2種類ぐらいしかやりようが無く、他のどんな能力よりも展開を
読まれやすいのが“不死身”であって、売りにするのは別にいいと思いますが、
戦闘要員に共通の基本設定とかでもない限りは1回やるのが限度でしょう。
というかそもそもネタ被り自体が褒められたものではないので
わざわざこんなコトを言われるまでもない…はずなンですが、
『冒険王ビィト』は不死身のネタ被りを見事にやらかしてくれました。
まず1人目の不死身は、4~5巻で戦った魔人(ヴァンデル)フラウスキーになります。
コイツは体内を動き回る小さな“中枢”を破壊しない限り頭を吹っ飛ばされても死なない
ヤツでして、当ブログにて定義するところの不死身の条件に見事に合致しています。
2人目は、9巻で初登場の魔人ヒスタリオ。
本格的な参戦は14巻以降になりますが、調子ブッこいて二番手との戦いに横やりなんか入れた
おかげで12巻で、しかも“主人公に”不死身がバレてる間抜け野郎です。
似たような敵とやり合ってりゃあバレた時点で対策するのも難しくはありませんし、
話も進んでますから主人公側の採れる手段もかなり増えてますので余裕で対応出来ます。
おまけに12巻から次が出るまでリアルに10年かかってますので、
その間に読者でもアレコレ考えるってなモンです。
まぁ角に関しては7巻以降全く出て来ないどころか「角ってどれよ?」ってな連中も
出て来てたりするので、元々ネトゲみたいな世界観ですから途中でアプデが入って
nerf(弱体化)されたか分かりませんが、それでも他にやりようはあります。
“あの力(ちから)”とやらで問答無用にブチ殺すとか(7巻より)
あるいは超空間ブラックホール(仮)的な無差別攻撃を安全にぶっ放せるよう工夫するとかね。
ついでに言えば某匿名掲示板では“死体を操る能力”まで読まれてました。
劇中で明かされる1年以上も前にね。
読者としては今ある情報だけで考えるしか出来ませんからこれが精一杯ですが、
あとは作者の特権でポッと出の後付け設定をねじ込むしかないでしょう。
どのみち作者2人がナニをやろうが10年待たされた読者の予想を超える
ようなことは決して無い、と断言出来ます。
老いた麒麟は駑馬にも劣る。
かつての名作を手掛けた人たちにこんなコトは言いたくありませんでしたよ。
サボり続けた10年間を正直に話してくれさえすればね。
というわけで総括です。
・『倒せるようにしてある』か、
『永遠の中に閉じ込める』か。
不死身の倒し方は2つに1つ。
・1つの作品で不死身ネタを2度もやらない
・不死身は悟られないように振る舞うべし
あれなら正直に弱音を吐いてくれるだけ萩原一至の方がよっぽどマシです。
〈終わり〉
↓かつての名作
↓『不死身を倒す』
↓『永遠の中に閉じ込める』