“漫画界の良心”・皆川亮二 | せいぜいひまつぶしの小話

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5年目から創作系ブログとして新装開店しました。
色々と思うところ書いてます。講談社への抗議不買は一生続けます。
2022年12月からは小学館もリストに加わりました。
「人を選ぶ」とはつまり「自分は選ばれた」ということです。

“漫画界の良心”こと皆川亮二先生が描く傑作アドベンチャーロマン
『海王ダンテ』最新10巻が今月発売されました。今回も安定のクオリティでした。
最新10巻

一応念のため“漫画界の良心”というのは公称ではありませんのでご注意ください。
このブログ主が勝手にそう呼んでいるだけです。

何でも知ってる本と、何でも設計出来る本と、生き死にを自由に操れる本に選ばれた者たちが
たどる数奇な運命を、実在の人物と世界の歴史を虚実ないまぜに絡めながら描かれてきた壮大な
冒険の物語も、主人公・ダンテの正体と秘密に迫る今回のアトランティス編でそろそろ佳境に
入り始めてきた感があります。

というかこの作品では、先に説明した3つの本の他に様々な超常現象を引き起こす
“魔導器”なる超強力なアイテムがありまして、『海王ダンテ』の物語構成は、
この主人公にしか扱えないインチキを「どうやって使わせないか」
ということに頭を悩ませてきたであろうことは、容易に想像がつきます。

最初の頃(単行本1巻より)

最初の頃は「対応した体の部分が破壊される」デメリットがありましたが、
5、6巻目を過ぎたあたりからそれもほぼ完全に克服されましたので、
オーストラリア編と次のエジプト編では「持ち主から引き離す」方法が採られました。

そして今回のアトランティス編では(自主的に)使わない」という方向で
話を持っていきましたが、さすがにもうこれ以上はネタ的に限界なんじゃないかと。
あとはもう「危険だから」とかなんとか言って手放すか、あるいは主人公以外にも自由に

扱える“ラスボス的な誰か”を用意して、ソイツから取り返す以外には思いつきません。

なのでおそらく15巻か、長くても20巻以内で完結すると思われます。
それ以上長引かせても良い結果になるとは思えません。
主人公を含む主要な登場人物たちは歴史上の実在の人物をモデルにしているっぽいので、
最後は史実に則(のっと)った展開で〆るのではないでしょうか。
(なので多分そのうち片腕も失うことになるかもしれません)

 

前作の『ピースメーカー』も何となく潮時かなって所で終わってくれましたので、
読者の潜在的な期待と予想を裏切らないのが皆川亮二作品の良い所です。
他の追随を許さぬ圧倒的な画力は誰もが認めるところでしょうが、話作りにおいても
奇をてらったようなコトをしないから、安心して見ていられるのも大きな魅力です。
地力があるからヘタな小細工に頼る必要が無いんですよね。

そして個人的に一番スゴいと思うのが巻末での次巻予告でして、

『海王ダンテ』9巻より

自分の知る限りでは『ピースメーカー』の頃から掲載され始めたこの予告ですが、
この小さく書かれた“予定”を、これまで一度も破ったことがありません。

漫画を描くのは大変に孤独で過酷な作業です。
絵を描くのはもちろん、話を作るにしても、なかなか思い通りにはいきません。
ましてや本人の年齢的な条件を加味すれば、その苦労は並大抵のものではないはずです。
逆に小さく書かれているからこそ、それを墨守(ぼくしゅ)するプロとしての姿勢と矜持を、
より一層カッコよく引き立たせています。

商業作品のクセに満足に連載もこなせず年単位で
休載を繰り返し、たまに載ってもちっとも話が進まないヤツ。


連載を途中で10年もおっぽり出したままダンマリを決め込み、
白血病の噂まで流れたことへの説明責任を果たそうともしない
不誠実な作画担当。


プロの風上にも置けない無責任と不誠実を批判するどころか言論弾圧に走るカルト信者の
ファンコミュニティに、ネット工作で人気を捏造する出版社…具体的に誰のことかはあえて
書きませんが、どうせ分かる人には分かることです。

符合の一致は偶然であり信者の皆さんの思い込みですので、
せいぜい勝手にムカついてください。当方は一切責任を負いません。

内向きで閉鎖的で、目先の利益のために平然と詐欺を働くようになった漫画業界は
一度滅んでしまった方がいいとさえ思っていますが、
そんな腐り切った業界で信用を積み重ねるプロとしての誠実さは、
それ自体が業界に残された数少ない良心の証明であり、やはり最後の最後に支持されるのは、
作品の中身と作者に対する“信用”なのかもしれません。

 

〈終わり〉

 

↓皆川亮二の傑作群