7-4 仕事と家事と育児 6 | 夢、成る瞬間

夢、成る瞬間

ダグラス・コマエ物語

 だが、これが好きでもない仕事になると、それほど楽しいものでもない。だからぼくは仕事を五時間程度に限定したのだ。
「月十万でいったいどうやって暮らせるのだ」
 あちこちで尋ねられたが、あとで考えてみたときに、自分でもどのように生きてきたのかよく分からない。

 ひとえに元銀行員だったモニカの神業的な家計のやりくりの賜物であるとしか言いようがない。
 ただ、周囲の色んな人に助けられたので、食べるに困ることは一切なかった。

 モニカの実家より米をもらったり、親せきや隣りのじいさんが野菜類を豊富にくれたり、近所のおばさんが果物やお菓子をくれたので、家族は空腹感に悩まされるようなことはなかった。
「すべては不思議な具合に展開し、必要なものはすべて与えられるでしょう」
 その昔ホニアラの教会裏の大きなマンゴーの木の下でアウキの牧師が教えてくれたが、まさにその通りであった。

■ フォト 「ヒカリ――幼稚園時代」

隣りのじいさん(故人)

 

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