翌日――。
ビリーが迎えに来ると、ぼくはメンダナをチェックアウトした。
そのあと港近くのホニアラ教会へ向かったのは、出航まで少し時間があったからだ。
教会への道、ビリーと並んで歩いていたのだが、まったく驚いたのはその顔の広さである。
数メートルごとに誰かと出会い、ホテルから教会までのわずかな距離で実に二十人ほどの知り合いに声をかけたりかけられたりしていた。
しかも中にはソロモン政府の大臣であるという人物もいた。
ビリーの顔の広さの秘密はその経歴にあった。
教師を十五年間、マライタ州議会議員を十二年間務めてきたのであり、そういった理由からビリーを知っている人が多かった。
のちにこれが非常に活きてくるのは、イルカの商売を確立する時にあちこちの役所の関係ある部署にビリーの教え子や友人知人がいたからだ。
蒸し暑くて埃っぽいホニアラの街をゆくビリー(ソロモン諸島ホニアラ 1994年)