話を戻して――。
ホニアラ教会の裏庭には大きなマンゴーの木があった。幹の太い、とても大きな木だった。
木の下にベンチがあった。ここで海でも眺めながら船の時間を待つことになった。
そうしていると一人の男がやって来た。
三十代前半だろうか。小柄だが、体はソロモン人らしくがっちりしていた。大らかな表情になんとも落ち着いた雰囲気を漂わせていた。
マライタ州の州都アウキの教会で牧師をしているという。牧師も出航までの時間を過ごしに来たようだった。
海からのそよ風に当たりながら取りとめもない話に花を咲かせた。
牧師の話は興味深かった。牧師も不思議な導きを体験し、大きな力に守られているのを強く実感していた。
導きに従ううちに牧師になったと言い、牧師であるからにはもちろんこの大きな力のことを<神>と表現した。
「われわれが体験しているのは、決して特別なことではありません。それは“あること”に気づきさえすれば、誰にでも体験できるものなのです」
静かで穏やかな口調で、牧師はそう語った。
教会裏の大きなマンゴーの木の下で乗船時間を待つ(ソロモン諸島ホニアラ 1994年)