出航時間が近づいてきた。ぼくらは港へ向かった。
なんの疑いもなく最後までビリーが面倒を見てくれるものだと思っていた。
が、船に乗り込むやビリーは次々と誰かに話しかけられ、気がつくとぼくはビリーとはぐれていた。
牧師と残されたぼくは、どこか落ち着く場所は探すことにした。
――ラモス号。
ガダルカナルとマライタの二つの島を定期的に往復する、マライタ州所有の船である。
のちに廃船になるのだが、元は日本のフェリーで船内の至る所に日本語の標識がかかっているのがおかしかったし、なんとなく安心もできた。
目的地はマライタ島西岸の州都アウキである。
ここでトラックに乗り換え、山を越えた向こう側にビリーの村があるということだった。
ポイントクルーズ埠頭は人でごった返していた(ソロモン諸島ホニアラ 1994年)