●虫めづる姫君~堤中納言物語 @作者未詳・訳/蜂飼耳 | ★50歳からの勉強道~読書録★

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本は友達。一冊一冊を大切に記憶に留めておきたい。

●虫の宇宙誌  で奥本先生は
雌雄についての考察もされていて、
メスの強さや能力の高さに、完全降伏されて
いるんだが、、、


それにつけても、今現在まで
「女性の昆虫学者」が殆ど無いのは何故か?
お母さんが汚い、怖い、と嫌がるからか?
はたまた昔、小学校でやらされた残虐なる
カエルの解剖のせいでは?  と訝りつつ、


平安時代の進歩的女性、
「虫めずる姫君」の話をされている。
彼女は、宮崎駿監督がナウシカのモデル
に選んだという、素敵な日本の女の子。



かの姫君は按察使の大納言の娘、、つまり
地方長官クラスのお宅のお嬢様なのに
「人は全てつくろう所あるは悪ろし」と言い
眉も手入れせず、お歯黒もしない。


黒髪を邪魔にならぬよう耳に掛け、
白い歯で笑い、太陽の下で遊ぶ。 
今なら普通のチャーミングガールだけど、
当時はとってもヘンだった。

絵本も出てる。



隣のお嬢さんは蝶を可愛がっているのだが
この姫君は毛虫が大好き!
新種を探しては名前をつけ、手に這わせ、
「かはむし(毛虫)の蝶になりぬる」
のを観察するのだ。

「毛虫って、考え深そうな感じがいいよね」





この本を現代語訳しているのが
蜂飼耳(はちかいみみ)という名前の
これまた個性的で、きっと虫も好きであろう
お若い(40代?)女性の詩人なんだけど、、

タイトル「虫めづる姫君」を訳して
「あたしは虫が好き!」って、いいね~(^^)
世間の目なんか気にしない。
一人称の「あたし」がぴったりではないか。
蜂飼耳さん



だってね、
「蝶の姿形のみを愛でるなど浅はか。
幼虫からの過程を飼育観察し、真実の姿を
探るこそ、真に興味のあること。」
なーんて、ファーブルやその百年後の
後継者たちと全く同じことを言っている。


「絹だって繭の中の蚕の糸を繰るんだからね
観察してみれば、羽がはえたらおしまいだ
ってことが、わかるでしょうよ。」




堤中納言物語(つつみちゅうなごん)には、
この他10編ほどの短編が収録され、
源氏物語に似た話、ちょっと笑っちゃう話、
インドや異国を持ちだしたり、
日本各地の名産品を列挙したりする
一風変わった話、、なんだかメチャ面白いぞ。


作者も判らず、「堤中納言」が誰かも判らず、
本当に虫好きのお姫様がいたのか、
それとも、そんな女の子がいたらいいなぁ、
と誰かが創ったのか、、
どちらにしても、豊かな物の考え方だなぁ。

こんな本もあるのね。可愛い。




そういえば、物語では男女とも
本当に常に歌を詠んでいて、その醍醐味は
同音異義語の掛け言葉、つまりシャレ。

♪木綿葛を「繰る」ように、貴方が「来る」と
言ったって、「根は堅い」から「寝難い」ワ。

♪あの姫を花に例えれば「ワレモコウ」ね。
だって負けず嫌いで、「我もこう」。(^^)
なんてね。




シャレ文化は、今やおやじギャグ扱いされ
すっかり虐げられてるけど、、
そんなことでいーんでしょーかっ?( ̄^ ̄)


「やまとなでしこ」で松嶋菜々子が
お嬢様キャラをかなぐり捨て
「バッカじゃ中目黒。ナニ祐天寺。」
って言った時、メチャ萌えませんでしたかっ!
きっとこれこそクールじゃぱんな伝統芸能。
Don't miss it!


ということで、今日は素敵な女の子特集。
世間の白い眼なんか気にしない。
アルミ缶の上にあるミカン!
おホホホ。(#^.^#)