文字もない時代、口から口へ伝えられ
紀元前4~2世紀に歌物語となり
いつしかバールミキという優れた詩人により
叙事詩として成立する。
素晴らしいことに、それが今でも大人気。
インド人で知らない人は一人もいない!
秋のお祭りには、この劇や踊りが毎日催され
学校も10日間、お休みなんだって。
それどころか、インドネシア、マレーシア、
タイ、ベトナムでも広く愛され、
地方の劇や影絵芝居はみな、この長い歌物語
の一節を主題としてるし、
東南アジアの更紗や装身具、部屋の飾りも
登場人物たちをモチーフにしている。
ラーマーヤナとは 、「ラーマの物語」。
「ヤナ」=鏡=物語、という意味だけど
日本の大鏡、増鏡なんかもコレなのか?
ラーマは王様で、神様の生まれ変り。
奥さんになる、やはり元神様のシータは
美しく、気高く、強い意志を持つ女性で
そう・・・ラピュタのシータです!
ラーマーヤナは日本にも影響があったんだ!
そういえば、ラストでシータが火の中を歩き
怪我しないことで身の潔白を証明する...て
古代中国や日本の神判「くがたち」と同じ。
興味深いルーツが、たくさんあるよー。
内容は悪魔に乗っ取られたランカの島
(セイロン島=今のスリランカ) を、
神様の生まれ変りであるラーマと猿が
猿軍団を率いて攻撃、解放する。
だからアジアで猿は今でも神様なのかな。
特に猿のハヌマーンは、戦いで顔が焦げ
黒い顔になるんだけど、
今でも実際にいる黒い顔の猿の祖先とされ
「ハヌマーン猿」は、最も位の高いお猿さん。
功績により、ラーマから「体育の神」に任命
されたので、今でもインドでは
どの競技会も、体育館も、水泳クラブも、
ハヌマーン猿を徴章にし、守護神とする。
西遊記の孫悟空の先祖かもしれないですね、
、、と著者は仰っている。
インドネシアの影絵芝居(ワヤン・クリ)の
ハヌマーン
今でもインドとスリランカ(セイロン)の間に
ある岩は、ラーマが海中に掛けた橋の
名残りと言われ、進軍跡とされる場所には
シータ湖、ラーマ川などがたくさん。
日本で初めて刊行されたのは戦時中。
全六巻、四万八千行の長大な物語を
少年少女に親しみやすく童話風にした。
この本は昭和44年の第三版だけど、
挿絵は当時の駒井哲郎画伯による
オリジナル版木で残っている。素敵ね。
日本では西洋の神話の方が有名だったり
するけれど、、、アジアの一員として
アジアの一番古い、大事な物語を
是非知ってほしい! と著者は強調する。
こんなに古い物語が口伝でキチンと伝わり
しかも今も活き活き、生きている!
さすがインド、スゴい!