●ラーマーヤナ~インド古典物語 (上・下) @河田清史 | ★50歳からの勉強道~読書録★

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本は友達。一冊一冊を大切に記憶に留めておきたい。

ラーマーヤナの発祥は紀元前10世紀に遡り
文字もない時代、口から口へ伝えられ
紀元前4~2世紀に歌物語となり
いつしかバールミキという優れた詩人により
叙事詩として成立する。






素晴らしいことに、それが今でも大人気。
インド人で知らない人は一人もいない!
秋のお祭りには、この劇や踊りが毎日催され
学校も10日間、お休みなんだって。


それどころか、インドネシア、マレーシア、
タイ、ベトナムでも広く愛され、
地方の劇や影絵芝居はみな、この長い歌物語
の一節を主題としてるし、
東南アジアの更紗や装身具、部屋の飾りも
登場人物たちをモチーフにしている。

ラーマーヤナを編纂する詩人のバールミキ





ラーマーヤナとは 、「ラーマの物語」。
「ヤナ」=鏡=物語、という意味だけど
日本の大鏡、増鏡なんかもコレなのか?


ラーマは王様で、神様の生まれ変り。
奥さんになる、やはり元神様のシータは
美しく、気高く、強い意志を持つ女性で
そう・・・ラピュタのシータです!
ラーマーヤナは日本にも影響があったんだ!

ラーマの即位図。妻シータと息子たち




そういえば、ラストでシータが火の中を歩き
怪我しないことで身の潔白を証明する...て
古代中国や日本の神判「くがたち」と同じ。
興味深いルーツが、たくさんあるよー。

ミャンマーの演劇のラーマとシータ





内容は悪魔に乗っ取られたランカの島
(セイロン島=今のスリランカ)  を、
神様の生まれ変りであるラーマと猿が
猿軍団を率いて攻撃、解放する。


だからアジアで猿は今でも神様なのかな。
特に猿のハヌマーンは、戦いで顔が焦げ
黒い顔になるんだけど、
今でも実際にいる黒い顔の猿の祖先とされ
「ハヌマーン猿」は、最も位の高いお猿さん。

ハヌマーンがシータにラーマの指輪を見せる




功績により、ラーマから「体育の神」に任命
されたので、今でもインドでは
どの競技会も、体育館も、水泳クラブも、
ハヌマーン猿を徴章にし、守護神とする。
西遊記の孫悟空の先祖かもしれないですね、
、、と著者は仰っている。

珍しい黒い顔は、誇り高き勇気と忠誠の証。



インドネシアの影絵芝居(ワヤン・クリ)の
ハヌマーン






今でもインドとスリランカ(セイロン)の間に
ある岩は、ラーマが海中に掛けた橋の
名残りと言われ、進軍跡とされる場所には
シータ湖、ラーマ川などがたくさん。

タイの演舞



お手伝いのリスだって、ラーマが三回叩いて
怪我を直してあげたので、背中に縞が三本、
ラーマの指の跡なんですよー♪♪♪


ジャワ舞踊のラータとシータ、
弟のラクシマナも英雄だ。




日本で初めて刊行されたのは戦時中。
全六巻、四万八千行の長大な物語を
少年少女に親しみやすく童話風にした。


この本は昭和44年の第三版だけど、
挿絵は当時の駒井哲郎画伯による
オリジナル版木で残っている。素敵ね。






日本では西洋の神話の方が有名だったり
するけれど、、、アジアの一員として
アジアの一番古い、大事な物語を
是非知ってほしい!  と著者は強調する。


こんなに古い物語が口伝でキチンと伝わり
しかも今も活き活き、生きている!
さすがインド、スゴい!


伝説の戦士ラーマ。
ガンジーが死の間際に「ヘー・ラーム」(神よ)
と言ったのは、ラーマのこと。


登場人物たちは、今に至るインドの人々の
良きお手本であり続けているんだ。
素晴らしいなぁ。   (#^.^#)