●夢判断(上・下) @フロイト/高橋義孝訳 | ★50歳からの勉強道~読書録★

★50歳からの勉強道~読書録★

本は友達。一冊一冊を大切に記憶に留めておきたい。

夢って一体何でしょう?
昔はお告げ、暗示、予知夢・・と言ったし、

今よく聞くのは、昼間の記憶を整理した残骸
だとか、果ては記憶の排泄機能?
又は、睡眠中の知覚に対する反応だ、とか。


何にせよ荒唐無稽で意味不明。
で、起きると忘れてる。


コレ全て、フロイト先生が一刀両断!
全ての夢は願望充足! それ以外に無い!
支離滅裂でもない!ちゃんと意味がある!
と、めっちゃ断言なさっておられる。






だからといって、山に登る夢を見た人が
山に登りたい訳でなく、人を殺す夢を見たら
コイツ殺したい、、ってワケでもない。
夢はもっと複雑なのだ。


起きてる時に理性が働いているように、
我々の睡眠中にも「心的検問所」があって、
こんなにあからさまな、淫らな、恥ずかしい
願望を抱いていることを隠そうとする
「夢歪曲」が行われているという。


ジークムント・フロイト(1856-1939)
オーストリアの精神科医。ユダヤ人。
無意識研究による精神分析の創始者






例えば、可愛い甥っ子が死んでしまう・・
という若い女性の夢は、以前も葬式で会えた
憧れの男性に、また会えることが願望。


フロイトから、夢は願望充足だ!と聞いた
友人の弁護士は、訴訟に全敗する夢を見る。
これ内心フロイトに恥をかかせたい、願望。
て具合なのだ。わかりにくーい。


フロイトによる構造論






夢の元になる「願望」は、上記のような
些細な日常の希望もあれば、
幼児期に満たされなかった根強い欲求もある。


そして実際の夢映像となる、「材料」は
前日や前々日の出来事、頭の中で考えた事
などが使われ、さらに「圧縮」や「交換」、
また数字や文字から連想された「シャレ」に
よる関連付けまである。。解んないよー


睡眠中は内心の検閲の威力が衰えるので
夢を見て願望を満たすことが可能になる。
運動末端が寝ていれば、体は動かないので
人殺ししても大丈夫。。と、夢は判断する。
この区別がつかないと精神病になっちゃう。





だから夢の「謎解き」には、
前日に何があったか、何を考えたか、
昔の体験などを知らなくてはならず、結果、
一番的確な夢判断ができるのは本人だとか。


フロイト先生は精神科医なので、患者さん
から沢山話を聞いて、判断をしているのだ。


アンリ・ルソー  「夢」  1910年





私がほんとかいなー?と多々思ったように
フロイト先生の説には、多数の攻撃や非難が
寄せられたのだろう。

「私がこういうと、また反論があるだろうが
それはこのように解消できる」と何度も書いて
常にファイティングポーズを崩さない。
ガッツだなぁ。そして絶対の自信!



パブロ・ピカソ  「夢」   1932年




経験豊富なフロイト先生的には、技術的に
示す物を推察する、「象徴」がいっぱいある。


箱や箪笥、暖炉、船、容器類は女を表し、
すべすべの壁や塀は男、階段の昇降は性交、
虫にたかられる状態は妊娠、、、と続き、


その他たーくさんの物が、ほとんど全て
性的なものの象徴。。。要するに、夢って
ほとんど、そっち系の欲望を表している。
いや、隠している。というべきか。


シャガール  「夢」  1939年




人間の根元的な要求だから、仕方ない
というか、当たり前なのかな。


でも、誰にも見られない夢の中でも、
そんなことを考える自分を隠す・・・
人間て、理性って、スゴいなぁ。


逆に言えば、「恥ずかしさ」を忘れたら
人間おしまいだね。


シャガール「画家の夢」  1980年