●やわらかな生命 @福岡伸一 | ★50歳からの勉強道~読書録★

★50歳からの勉強道~読書録★

本は友達。一冊一冊を大切に記憶に留めておきたい。

物理学の本を読むと、「エントロピー増大の
法則」というのがよく出てきて、これは
「物質は必ず崩れる」ということ。(ざっくり)


崩れる方向にしか向かわないので、
風化する、老化する、壊れる、、、必ず。
決して若返ることはない、コレ物理法則。


だから人間も年を取り、やがて死ぬんだけど
生物学者である福岡先生によると、
私たちの細胞は、日々作り変えられ更新され
新しく入れ替ることで「動的平衡」状態にある。


生物学的には今日の私は昨日の私ではない!
やがてエントロピーからは逃れられないけど
生命には回復力があり、可変的で、柔軟だ。
「日々新たなり」って、古代中国の殷の王様も
会津の日新館も言ってるね!






この本は週刊文春連載のエッセイ集。
福岡先生は私と同い年なので、
万博、ウーパールーパー、シーモンキー、
星新一のショート・ショート、青春のスキー♪からの~
ザウス!   ひょー懐かしー。


ベストセラーにもなった
住んでた所も近いので、クマゼミが箱根の
山を越えた驚愕にも、激しく同意!


太陽の塔の目に何者か登り、「万博をつぶせ」
という、アイジャク事件は知らなかった。





小学校の頃、勉強のできる物識り少年は
かなりの確率で、アダ名が「ハカセ」だった。
成績がいいと、必ず「末は博士か、大臣か」
なんて言われたものだけど、、



今は教師も大臣も尊敬されなくなっちゃった。
福岡さんが自分を「福岡ハカセ」と言うのは
自嘲的だけど、万年少年ぽくて私は好き。(^^)


「福岡ハカセは昆虫少年出身だから、
トンボの名前はすぐわかるのです。」






「ダンゴ虫は昆虫じゃなく、エビやカニの仲間
茹でると赤くなる。実際には試さないでね」

「カタツムリが家を捨てたのがナメクジ。
雌雄同体で恐竜が絶滅しても生き延びたんだ」

「世界の生物種の過半数は昆虫。
昆虫こそ進化の成功者なんだ。」


スキー大好き、福岡ハカセの連載タイトルは
「福岡ハカセのパラレルターンパラドクス」
万年ボーゲンの私も憧れた、パラレルターン
の美しさこそ、動的平衡なんだとか。


週刊文春の連載で、挿絵は村上テツヤさん。
阿川佐和子さんと一緒だね。






副題は「福岡ハカセの芸術と科学をつなぐ旅」
ということで、フェルメールの絵が大好きな
福岡ハカセ。
フェルメールが使ったラピスラズリの青、
北斎のベロ藍(プルシアンブルー)、
宮沢賢治の青、
ルリボシカミキリの青、アオスジアゲハの青
についても熱く語っている。これも共感!


2012年、福岡ハカセは銀座に
フェルメールセンターを創ってしまった!
全作品37枚を年代順に展示した。
(本物ではなく、リ・クリエイト作品)






福岡ハカセはカズオ・イシグロの本が好きで
実際にお会いしたこともあるそうだ。
イシグロさんの2017年ノーベル文学賞、
ハカセもお祝いしたかな~(^^)



と、いうことで、
去年、一挙放送で録画しといたドラマを見る。
臓器移植の為にクローン人間を育成する制度
がある社会を描き、生命を考える。。
2005年、カズオ・イシグロ原作(イギリス)

日本では2016年TBS金曜ドラマ
主演:綾瀬はるか、三浦春馬、水川あさみ

(ちなみに2014年には蜷川幸雄が舞台化も
している。主演:多部未華子)
すっごく深くて、考えさせられる。
第一回の?????が、回を追う毎に明らか
になってゆく。。夢中で見てしまった~
原作本はもっと面白いだろう。



イギリスではもっと早く映画化。2010年
「Never Let Me Go」






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iPS細胞を始めとする再生医療については
山中伸弥教授の本で感動したばかりなのに、
部下の論文改竄で謝罪するニュースを見て
憔悴した山中教授の姿に胸が痛んだ。

山中先生は日本の宝なのに、、
何させてくれてんの。。。
お願いだから辞めないで。日本で研究を
続けて下さい。日本のために。

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