●阿Q正伝 @魯迅 | ★50歳からの勉強道~読書録★

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本は友達。一冊一冊を大切に記憶に留めておきたい。

最近読んでる近代の日中関係、政治向きの
本に、何故か「魯迅」が頻繁に登場。?

教科書に出てくるから、昔の杜甫的な?人
かと思ってた。。全全然違うー。ぷ。



魯迅は1930年、中国で左翼作家連盟を発足し
蒋介石の国民党政府批判で、逮捕されそうに
なったり・・・弾圧される革命活動家からも
師表として仰がれる存在。なのです。



●ゾルゲ事件で逮捕された、尾崎秀実とも
上海で交流があった。    魯迅は尾崎を
「ドイツ語の良くできる新聞記者。知識が広く
人間もしっかりしている」と評している。







尾崎は「阿Q正伝」の訳本を日本に紹介する。


冒頭「中国左翼文芸戦線の現状を語る」と題し
左翼作家連盟の声明を全文引用、
弾圧への抗議、怒りを日本の知識人に訴え
労働者、農民にも広めようとしたのだ。



魯迅は共産党じゃないけど、革命的姿勢は
毛沢東の蒋介石批判に利用される。
「魯迅の方向が中華民族新文化の方向だ」と
死後も顕彰し、中国革命の聖人に奉り上げた。


上海市にある魯迅公園、魯迅像。




ところで、さらに意味のわからなかった
「阿Q」は、名前も判らない名付けようもない
「阿Qさんの人生」みたいなことで、

魯迅は、まともに名前もつけられないような
阿Qという存在に、民族的な醜さを集約し
改革の決意を促す、痛烈な皮肉としている。
・・・らしい。よく読み取れないけど。。


上海市  魯迅記念館





これは短編集で、他にも同様に何かを
象徴的に暗示してるんだろう。。と思われる
結構なオドロオドロしい色調の作品たち。


「狂人日記」は魯迅の最初の小説だ。
題名からしてもう、暗い。。
「人が人を食う」話は、儒教のこと。
魯迅は思想解放の為の最大のガンは、
二千年来の伝統で権威付けられた儒教だ、と。


そういえば、「漢字が滅びなければ
中国が滅びる」、とも言ってたなぁ。

1936年  魯迅





魯迅は一応文学者だけど、小説より
「雑文」の方が圧倒的に多いそうだ。
この本にも入っている「藤野先生」は
2年間の日本留学中に仙台の医学校で
献身的な教授をしてくれた藤野厳九郎先生
への思慕を綴ったもの。



結局魯迅は医業を棄て、人間の体の治療より
文学を通して「精神を改造」する道を選んだ。
親身に勉学を扶けた藤野先生の美談は
今も仙台に残り、
「東北大学藤野先生賞」もあるんだって。


仙台医学専門学校(現東北大学)の
藤野厳九郎先生は、魯迅(本名・周樹人)の
ノートを、懇切丁寧に添削してあげた。




訳者の増田渉さんによると、昭和11年に
岩波文庫で「魯迅選集」を出版する時
魯迅本人から、作品は勝手に選んでいいけど
「藤野先生」だけは絶対入れてほしい、と
頼まれたそう。国際的な温かい繋り・・・
として、中国では教科書にも載っている。


けど、実際は帰国後、心配してくれる先生に
連絡しなかった魯迅の後悔、、なんだよね。


添削されたノートが残っている。

藤野先生の郷里は、福井県あわら市。
旧宅が藤野厳九郎記念館になっている。



裏表紙の解説には
「民族のマイナス面として典型化された
阿Qを通じて、辛亥革命の内蔵を痛烈に暴き
その失敗を教訓として民族的決意を促す」
とある。そうそう、そゆこと。(^-^)v


日本留学:1904-5
辛亥革命:1911
中華民国成立:1912
阿Q正伝:1921
左翼作家連盟:1930
病気で死去:1936   55才