●新釈水滸伝(上・下) @津本陽 | ★50歳からの勉強道~読書録★

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本は友達。一冊一冊を大切に記憶に留めておきたい。

水滸伝、あまりに膨大なので津本さんの
新釈2巻&中国ドラマ全86回でお茶濁す。。



舞台は中国、北宋末期の徽宋天皇の治世で、
1100年位だから、、日本では平安時代か。



梁山泊に集った108人のアウトローたちの
超型破り武勇伝は、最初講談で語られ、
明代に小説化。「三国志演義」、「西遊記」
「金瓶梅」と共に、四大奇書と言われる。






津本さんがコレを書いてる時、中国人作家に
「金瓶梅、紅楼夢、水滸伝、三国志に、
我々は手をつけません。侵すべからざる
古典なのです」と、軽くキレられたとか、、

構想10年、製作費55億!全86話。2011年中国






でもね。水滸伝は、元本の作者は不明だし、
108人が梁山泊に集うまでを描いた70回本、
その後の戦いを加えた100回本、120回本など
二百数十年の間に、様々手が加わって成立
したもの。中国では神聖視されてるのかなぁ


梁山泊の首魁、晁蓋(保正)。托塔天王




日本では、大岡越前守の政令「奥付」により
本の最後に著者名、出版元を明記するのが
伝統になったそうだけど、、
(幕府批判の取締り・・・日本独特なんだって)

諸悪の根源、徽宋皇帝側近、高俅。





中国では、売れるとあちこちで出版し、
著作権も無いので、挿入や削除も勝手放題・・
結果、水滸伝にも色んな「テキスト」が存在
するようになってしまった。さもありなん。

林沖。元禁軍の教頭。渾名は豹子頭。





ストーリーの元は、「宋江36人」という盗賊
の史実。官僚の圧迫に抵抗した農民の反乱だ。
人々はこの英雄説話に溜飲を下げ、語り継ぎ
拡大されて、36人は108人に増えちゃった。

主役、宋江。見た目は冴えない役人だが。。
「孝義の黒三郎」または、恵みの雨を表す
「及時雨」の渾名で、誰からも尊敬されちゃう







梁山泊という、盗賊の巣窟は実在したそうで
その他、徽宋皇帝がデカイ石を運んだ、
実話も、ストーリーに組み込まれている。

道士、公孫勝。一清先生。渾名は入雲竜。






ほんと、中国の人は「好漢」が好きだなぁ。
型破りのならず者でも、正直で義に厚ければ
みな好漢。で、すぐ義兄弟になっちゃう(^^)

梁山泊の軍師、智多星の呉用。加亮先生。





津本さんが基礎にしたのは70回本で、
大河ドラマでは全88回の45回までに当たる。







津本さんは、原作に忠実な方なので
好漢たちはザクザク人を殺す。ホイホイ痺れ薬、
心臓をえぐり、五臓六腑を松の枝にかけ、、
酒器はドクロ、犬肉、人肉あたりまえ、、
エグいことこの上なし。明るいけどね。

元軍官、魯提轄。人呼んで、花和尚魯智新。





こういう描写、吉川英治の「新・水滸伝」では
中国に気を遣ったとかで、省かれている。
もちろんドラマも映像だから、超マイルド。






やりたい放題の暴れん坊たちの武勇伝は
目を覆うばかりの凄まじさ!・・なんだけど、
私には、直前に読んだ則天武后が強烈すぎて。



申し訳ないが、仲良しこよしの盗賊クンより
群れない女豹、孤高の則天ちゃんの方が、
数段痛快で、マジ豪傑だぜ。と思える。
事実だけにね。。ごめんあそべ。