大学院の途中経過 | Aussie Physio (オーストラリアの理学療法)

Aussie Physio (オーストラリアの理学療法)

日本で理学療法士として働いた後

オーストラリアでPhysiotherapist (理学療法士)になるために渡豪

そんな日々の中での気づき

ご無沙汰しております。

今日ようやく大学院の1学期目の期末試験が終わりました。パートタイムで勉強しているので試験は1教科だけでしたが、Anatomy and Pathology は理解しなければならない内容が多くて大変でした。蓋を開けてみるまで何があるかわからないですが、やれることはやったのであとは待つのみです。


そういうわけで、今日は大学院で学んだことについて少し触れてみたいと思います。

僕が通っているカーティン大学のMaster of Clinical Physiotherapy (Manipulative Major)、今学期の教科は3教科、Advanced Anatomy and Pathology, Advanced Evidence Based Physiotherapy, Physiotherapy Project Proposal の3つでした。

Advanced Anatomy and Pathology では、解剖学をよりMorphology(関節の形態の違いによりどういった動きやファンクションを伴うのか)の視点からと、様々な病態(変形性関節症、椎間板の退行性変化、腱障害、筋損傷などなど)を生理学的な視点から理解することを学びました。OAに関する今までと違った知見など、新しい発見も多々ありました。

Physiotherapy Project Proposal では、自分のテーマ、もしくは大学側があらかじめ用意しているトピックにそって研究をすすめていく科目で、研究自体初めてのことなので試行錯誤しながらすすめている状態です。これは2学期にもつながる科目なので、また報告させてもらいたいと思います。おおまかに話すと、筋骨格系の疾患(頚部痛、腰痛、肘、肩の痛み)が、オフィスワーカーの仕事などで座っている時間とどういった関連があるのか(長時間座っている人と座っている時間が短い人では、痛みの特性が変わってくるのか?)というようなことを目的としています。

Advanced Evidence Based Physiotherapy では、基礎的な研究などの専門用語、研究方、文献の批判的吟味の方法(以前のブログでPICOについて紹介してます ここから)などについて学びました。正直このPICOから導き出す文献の吟味は、今まで自分の持っていた苦手意識から考え方を変えさせてくれる大きなステップとなりました。

そういった内容ですが、マスターをやる価値があるのかどうか。。。高いお金を払ってまで学んだことが使えるのか。きっとそういう疑問はあると思います。

僕はオーストラリアで理学療法士として働かせてもらっているので、こちらの大学院で学ぶことはそのまま日々の臨床に活かせていると思います。けどそれが果たして日本でどれだけ使えるのか...?

僕ともう一人同じコースに通っている日本人の理学療法士がいます(彼と彼の知人が運営しているfacebook のページは こちらから )が、彼はフルタイムで勉強しているので、僕が来年習う予定の Advanced Musculoskeletal Science と Physiotherapy Clinicを今学期に習っているので内容を教えてもらいました。クリニックは実習なので実際に患者さんを治療していくようになりますが、Advanced Musculoskeletal Sicence Assessment に関しては僕が学士で勉強した内容と今の所大きな差はないみたいです。

ただ、2学期からはAdvanced Musculoskeletal Science Managementという、もっとマネジメントの分野に入っていくので、そこでの内容が学士とどこまで違ってくるのかが楽しみなところです。

回りくどくなってしまいましたが、何が言いたいのかというと日本の理学療法士さんで留学を考えている人の中には、こちらで働くために学部に通いたいと思っている人、もしくは筋骨格系などの専門分野で勉強したいのでマスター(大学院)に通いたいと思っている人に分かれると思います。

マスター(専門修士)に通うのであれば、卒業してもこちらの資格が取れないので、その学んだ知識を日本に帰って活かすというようになると思いますが、ただダイレクトアクセスが認められていない日本の現状でそれをどこまで活かしきれるのか。。。悔しいですがそれが今の現状なのかなと思います。ただ、職場によってもし問診や身体的評価などを医師の診断を元に行うのではなく、理学療法士が行う機会があるとすれば、マスターで習っていることは非常に有効になってくると思います。もちろん、そういった機会がなくても学んだ事は保存療法を中心としている患者さんを診る場合には大変有用になってくると思います。また、臨床だけでなく教育の分野に関わっている人(教員や講習会など)であれば、こちらで習った知識や技術は非常に重要な財源になるのではと感じています。

ただ、そういったことが難しい状況であれば、オーストラリアもしくはダイレクトアクセスが認められている他の国々で臨床経験を積むことが、こちらで学んだことを使っていく上では一番効率が良い方法ではないかと思います(こちらの資格を獲得する方法が三木貴弘さんの理学療法士協会コラムによって紹介されてます こちらから)。

ですので、留学を考えている方は自分が卒業してからどういった道に進みたいのか、何がしたいのかといった事を考えていくと、実際に自分がどういった道に進むべきなのか、少しずつ見えてくるのではないかと思います。

長くなりましたが、あくまでもこれは僕の意見ですのであまり気にせず自分が信じる道を進んでいただけたらなと思います。

いつの日か日本の理学療法士が世界の理学療法士と同様に、ダイレクトアクセスを元にしたマネジメントが可能になるように、そしてこういった大学院で学んだ内容が日本でも有効に活かせる環境になるように、課題は山積みですが自分ができることをひとつひとつクリアしていければなと思います。


それでは今日も読んでいただきありがとうございました。