評価の大切さ その2 | Aussie Physio (オーストラリアの理学療法)

Aussie Physio (オーストラリアの理学療法)

日本で理学療法士として働いた後

オーストラリアでPhysiotherapist (理学療法士)になるために渡豪

そんな日々の中での気づき

今日は前回の記事の続きです。

腰痛でこられた患者さんの3回目の治療では、初回、2回目と同様の治療を行うのではなく、もう一度しっかりと評価をし直そうと思いました。それは自分の中で2回目の治療終了時にひっかかるものがあったからです。

僕が経験してきた中で、一番最初からプライマリードライバー(要は何が問題の根本にあるのか)というものを見つけられることが出来れば治療がスムーズにいきますが、やはり自分の理学療法の腕が未熟なせいもあってプライマリードライバーを見つけるのに数回のセッションを要するということがまだまだあります。

今回の患者さんの主訴は、腰部の痛みが「座っている時に起こる」とのことでした。そこで座位から評価を行っていきました。まず座位の時点で患者さんの骨盤はやや後傾しており、後傾を強めると痛みが増強、前傾をすると痛みが減少しました。

こういった症状はときおり急性の腰椎椎間板ヘルニアなどの患者さんでもみられることがあり、その可能性もあるのかな。。。と頭の片隅に置いておきながら評価を続けました。

次に座位にて腰椎の回旋、側屈を行ってもらったところ右腰部に若干の固さはあるものの同じ痛みはでないとのことでした。次に股関節の屈曲を座位でしてもらったところ、右側の股関節屈曲にて痛みが出現。部位としては右側の仙腸関節上部のところを訴えていました。また、 右側のPSISとS1を股関節屈曲時に触診しながら感じたところ、右側の方がより左側の動きよりも大きいように感じました(これらの仙腸関節の触診については賛否両論ありますが、僕はそのように感じました。。。)

ここまでの評価で次に疑われてきたのが、腰部の痛みがプライマリードライバーというよりは、仙腸関節の方が可能性が大きいのではと思い、さらに細かい整形外科的評価を行いました。

Active Straight Leg Raiseでは右側にてより努力を要しており、また同部位の痛みも再現、Compression を両側ASISにかけてあげることにより痛みの減少。Sacral Thrust test といって仙骨にposterior – anterior のストレスをかけることによって痛み再現。また、触診にてLong Dorsal Sacroiliac Ligamentに痛みが出ていました。

また、前回の記事で書いたように、今回の患者さんはこの腰痛を2年半前の妊娠中より感じており、座位時に骨盤後傾(より細かく言えば仙骨の逆うなずき運動)がLong Dorsal Sacroiliac Ligamentにストレスをかけることにより痛みが生じているのではないかと考えました。

右側の仙腸関節が過度に動いている一つの原因として、Impaired force closure があげられます。そして、これらの評価を元に腹横筋の評価を行ったところ、supine にて膝/股関節屈曲位から下肢の挙上を行ったところやはり右側の下肢を挙上する際に骨盤帯の固定が行われておらず、痛みを助長していました。

そこで3回目のセッションでは主にこれらの筋の使い方を指導し、座位にてLong Dorsal Sacroiliac Ligamentにストレスをかけないように指導し、その日の治療を終えました。

自分でもびっくりしたのが、この日はまったく徒手療法を行っていないにも関わらず、患者さんの満足度は今まで行った治療の中で一番たかいものでした。こちらのManual Therapistが陥りやすい考えとして、やはり徒手療法が発達していることもあり、こちらが徒手的に何かをしてあげることによって痛みが改善するのが美徳みたいな感じもなきにしもあらずだと思います。

少なくとも、自分も患者さんの痛みが徒手療法によって改善された時はやはり正直嬉しいです。しかし、一番大事なのはやはりその患者さんにとってなにが一番必要なのか、それが徒手療法であれ運動療法であれその人にあったものを提供していけるセラピストになりたいと思いました。

やはり評価あっての治療ですね。まだまだこれからたくさん勉強させていただきます!!長くなりましたが読んで頂いてありがとうございました。