評価の大切さ その1 | Aussie Physio (オーストラリアの理学療法)

Aussie Physio (オーストラリアの理学療法)

日本で理学療法士として働いた後

オーストラリアでPhysiotherapist (理学療法士)になるために渡豪

そんな日々の中での気づき

今日は1週間前に来た患者さんについて書かせてもらいたいと思います。

今日で3回目の治療でしたが、1回目、2回目と治療を終えてこちらが期待しているよりも結果が良好でなかった場合、もう一度自分が行っている治療、評価の再考をし直さなければいけないという経験をしました。いかに最初の評価で何が本当の問題なのかを見極めることが大事だということを目の当たりにしました。

『主観的評価』

33歳女性、主訴は腰痛で右の腰部に痛みを訴えて来られました。この痛みは約2年半前に妊娠している時に発生し、それ以降完治はせず、痛みの憎悪と緩解を繰り返していました。今回受診しようと思った過程は、来年あたりにもう一人子供を妊娠したいと考えており、妊娠中にまた腰痛が問題になりうると考えての受診でした。

痛みの種類としては鋭い痛み、うずくような痛みを訴えており、初回に受診された時の安静時痛はVAS で5~6 /10 、悪化した時には9/10になる時もあるとのこと。また、同じ部位にときおり軽い痺れを経験することもあり。

痛みを悪化させる要因としては主に座っているときに次第に痛みが増していくとのこと。また、2歳半の子供を抱えているとき、ヨガをしているときも時折痛みがでるとのこと。(ヨガは週に3回程行っておりとてもアクティブな方です)

痛みを減少させる要因としては、同様にヨガのストレッチやうつ伏せになって寝ているとき。温熱などでの緩解はとくに経験していないとのこと。

また夜はうずく痛みで何度か起きることもあるとのこと。妊娠以前に腰痛を経験したことはなく、交通事故による外傷などもなしとのこと。また、Red flagを示す中枢神経系の徴候や、体重減少もなし。

『客観的評価』

AROM—Lxでは主に右側屈にて右腰部の痛みを再現、左側屈にて同意部にストレッチ様の痛み、屈曲、伸展、回旋では特に痛みはでなかったものの右回旋にて固さを訴えていました。

PPIVMとPAIVMといわれる関節の評価にてLx 3-S1レベルの椎間関節にて右側にstiffnessを確認、それらの固さと患者さんが経験している痛みが類似、また、触診にて右腰部の脊柱起立筋群のスパズムも確認、それらも患者さんが経験している痛みと同様であることから、初回と2回目の治療はそれらをターゲットとしました。

治療法としてはDry Needlingとマッサージにて筋の固さを取ったあと、PPIVM とPAIVMにて右側Lx 3-S1の椎間関節を治療し、AROMの再評価にてmobility の向上と痛みの減少を認めました。Home exercise programとして関節を固くしないようにストレッチを指導した後、二回目の治療後の再評価ではほぼ腰部のAROMにて痛みなし、可動域も右側屈、右回旋でほぼ最終域まで動かせるといった状態でした。

しかし、2回目の治療を終えたあとに話をしている時に、数分座っているとまた同様の痛みが出てきたと訴えていました。ここが自分の中ですごくひっかかっていました。そして今日、3回目の治療に来られた時に腰部の調子を聞いたところ、動きは良くなったが座っている時にやはり痛みがまだ出てくるとのことでした。

ここで思ったのが、もしこのまま同じ治療を続けたとしたら、次の治療に患者さんは多分帰ってこないだろうなとどこかで感じました。そのため、もう一度しっかりとした評価を行おうと思いました。(こちらの理学療法クリニックでは、患者さんが次の予約に帰ってこないってこと…やはりあります。)

さて、そこで今日行った評価内容については…また次回!!