臨床実習途中経過その2 | Aussie Physio (オーストラリアの理学療法)

Aussie Physio (オーストラリアの理学療法)

日本で理学療法士として働いた後

オーストラリアでPhysiotherapist (理学療法士)になるために渡豪

そんな日々の中での気づき

今週で3週目が終わったところ。全部で5週間の臨床自習も早後半戦です。今週は実習の中間評価で、今の自分がどの位置にいるのかをフィードバックしてもらったところ。結果から言うと今のままではFail(不合格)ということ。本当にこの実習が始まって何度も辞めてしまいたいと思った。そして、自分が今のままでは不合格ということに対しても納得できている。自分の中で本当に足りないことがこの3週間でたくさん見つかった。




第一に今いる病院のシステムと何を実習で求められているかを自分が十分に理解していなかったこと。日本でPTの学生をしてた頃は、病院によっても違うと思うけど、少なくとももっと守られていた環境にいたんだなぁと思った。まず、患者さんを学生として担当させてもらった時に、カルテを見て、そこから必要な情報を抽出して、評価項目をたて、それを実行し、さらにそこから問題点を抽出して治療プログラムを立案するといった流れを何回かのセッションに分けて行っていた。こちらでもその過程に相違はないけれど、この流れが本当に早い。一日で全ての必要な評価項目だけを行い、即介入して、もし患者さんが歩けて階段を松葉杖で歩ければ次の日には退院。術後数日だからとか、まだNWBだからとかはあまり影響しないみたい。患者さんがPTの視点からして安全で、本人も安全と考えれば即退院。そしてこのDischarge(退院)にあったても、PTが大きな役割を担ってる。自分が前に働いていた病院では毎週DrとのMeetingで、患者さんのDischargeを話合っていたけれども、こちらではMeetingでDrが最終決断を下すというよりは、他の職種(PT,OT,SW)がここに自分達の専門的な視点から患者さんが退院可能かどうかを判断。PTとしては主に歩行と階段昇降を評価、それが可能であれば他になにが必要になりそうかということを問診する。例えば患者さんが患側下肢NWBで松葉杖歩行可能だけど、シャワーの際に椅子が必要だと問診から判断すれば、それを直接OTに報告(Referral)してOTの評価が開始される。そしてOTがそういった介入を行って家庭での環境が整えば退院。さらに患者さんが地方から来ている場合には、その患者さんが住んでいる地方の病院での外来に申し送りをしてその後のFollow upをしてもらうといったように、いかに入院日数を減らすかというようなシステムになってる。これを理解するのに最初の2週間かかって、そういったことも一からバイザーに聞いて教えてもらうというよりは、自分でバイザーがどんなことをしているのかというのを観察して情報収集しなきゃいけなかった。きっと聞けば教えてもらえただろうけど、それを考える余裕もなかった。




次にどうして自分がこういう状況で色んなことを冷静に考えられないのかという理由にコミュニケーション能力の乏しさが関わってくる。日本にいたときは、自分はコミュニケーションに対してすごく優れているとは思わないけど、それでもどちらかといったら自分の長所だと思ってた。それがオーストラリアに来てから自分の短所になってしまっている。大学に入るために2年間英語の勉強をして、そこからさらに一年半大学で英語を使いながらの勉強をしてきた。でも、英語を使いながらの勉強は所詮机上での勉強であってRealな世界では通用しない(自分の場合はしなかった)。きっと、PTの学生の時に片麻痺患者さんの筋緊張やSpasticityを教科書や文献で勉強しても、それが実際どんなものなのか患者さんをみるまではわからない感覚と似てる。英語を使ってきても、それが実際に活かせない。患者さんに問診しているとき、「何を伝えたい、何を聞きたいか」ということに注意を払うよりは、「どういう風にそれを言おう」ってことに注意を払いすぎて肝心な内容が伝えきれない状況が実習が始まって以来続いている状態。さらにバイザーや患者さんの家族が周りにいると、それがさらに悪化する状態。声のVolumeも出ない、質問も流暢じゃなく、そんな状況じゃFailって言われても納得だなって思う。それでも、今週からは、自分の中でAcceptance(受け入れ)のステージにきて前よりは英語が出来ないっていうComplexを克服してきているところ。自分の担当が外人で、自信なさげに喋ってたらそれは患者さんだって不安になるわなって思う。今週の終わりからは、自分がネイティブのように話せなくても、その人を思う気持ちがあれば伝わるものもあるんだなって思った。そのきっかけが、患者さんとHydrotherapyといってプールの中でリハをしているときに、その人に「あなたこの仕事大好きでしょ?見ててわかるわ」と言ってもらえたこと。本当に落ち込んでた時期だったからこそ、本当に嬉しかった。




簡単に会話ができる、そんなこともままらない今の状況ですが、この先どんな結果が待っていようとも今自分ができることを最大限にやっていこうと思います。