計画できないモロッコ人。 | イタリアでモロッコごはん

イタリアでモロッコごはん

イタリア在住 リツコがモロッコ人と結婚を決めた途端、介護同居生活が始まり今に至るドタバタと、美味しいモロッコ&地中海料理について語ります♪

モロッコ人は1秒先のことは

神任せ文化の人達だ。

 

 

アラビア語の先生に

では、また来週ね!と言っても

「インシャアッラー!(神がお望みであれば)」

と答えてくる。

 

 

日本人としては、その言葉を聞くと

会えるパーセンテージが下がる気がして

いささか不安になる驚き

 

 

夫とF女史が北イタリアに行くことは

数週間も前から決まっていた。

 

 

今回のイタリアに来た最大の目的のこのイベントに

絶対に行くと解っているのだから

電車のチケットが安いうちに

予約しておいてはどうか?と私は提案していた。

 

 

 

イタリアの電車のチケットは

早割りみたいに、早めに予約するほど安く

直前になるほど、ベラボーに高くなる。

 

 

だけど夫は、そんなこと

直前にならないと解らないから.....と言って

予約は取りたがらなかった。

 

 

やっぱりね指差し

 

 

この人達、事前に予約するのを嫌がるんだ。

 

出発直前になって、神様に聞いてみて

行けるようならばチケットが取れるだろう。

ダメなようならば、チケットは取れないだろうにっこり

全て神任せなんだ真顔

 

 

今までモロッコ人とモロッコを旅行しても

事前にホテルを絶対に予約しないびっくり

 

そこに辿り着けるかなんて、神のみぞ知るからだ滝汗

 

 

そして夜も更けて真っ暗になってから

目的地に着き、いそいそと現地人に交渉して

宿を直前に最終値で決めてくるのだ。

 

 

もしかして、値段交渉したくて

予約しないんじゃないか?と言っても

過言ではないくらい予約はしないチーン

 

 

だけど、ここはイタリア。

電車の予約システムは事前予約ほど安いのだから

予約しておけば良いではないか!

と思うのだが、やはり前日まで彼らは予約しなかった。

 

 

すると、行きは2人で140ユーロ代。

しかし、帰りは430ユーロとか

ベラボーに高い値段が出てくる。

 

必要な人はこの値段で買うのだろうか?

 

こんなことなら一泊して翌朝の便で帰ってきたらどうか?

と提案したけれど

絶対にその日中にフィレンツェに帰ってきたいという。

 

 

「リツコ、いいから往路だけ2人分買ってくれ。

 復路は僕がどうにかして探すから。」

 

 

私は往路だけ買って夫に手渡した。

 






 

翌朝、2人を車で駅まで送ってお別れ。

 

お昼頃北イタリアに着いた彼らは

M氏の奥さんの家に直行したらしい。

 

夫の事は懐かしく迎え入れてくれた奥さんだったけれど

F女史を見るなり、警察呼ぶぞ!と言ったらしい魂

 

 

元夫、M氏の家族は敵とみなしたのだろう。

 

 

だけど、随分前からこの光景をシュミレーションしていたF女史は

静かに、ただご挨拶に来ただけだと言って

夫と一緒に家に入れてもらったらしい。

 

 

家に入ると、アメリカのS氏(F女史の弟)と瓜二つの

M氏の息子A君がいて、一緒にお話出来たらしい。

 

 

彼は医者の卵としてまだ勉強を続けていて

あと少しで博士課程が終わるところだとのこと。

 

 

彼が13歳の時に出て行った父M氏のことを怒っていると。

あれから13年経った今、彼は26歳になろうとしていた。

 

 

夫が今まで見た26歳の青年の中で

一番落ち着いていて、素晴らしい教養で

モロッコ人の父母を持ちながら、ここイタリアで立派に育っていて

父がいなかったのに、自らコーランを学んで唱えられるという。

こんなに頭の良い青年は見たことがないと言っていた。

 

 

ただ、彼の心の傷付き具合がハンパなく

それを見て夫は泣いてしまったそうだ。

 

パパっ子だったA君は、突然お父さんを失って

その姿を夫は、6歳の時に父と、14歳の時に祖父を失った自分に重ねたのだろう。

 

 

A君はイタリア語で夫と話して

F女史には夫がアラビア語で通訳したそうだ。

 

 

A君は電話番号をくれなかった。

自分の写真もプライバシーがあるから撮らないでくれと言った。

 

 

父であるM氏の電話番号は受け取ったけれど

掛けるかもしれないし、掛けないかもしれないと言った。

 

 

あなた達の訪問は、来週試験を控えている僕の心を乱したと言った。

だけど、父と別れてからの最初のアプローチを取ってくれた事は

嬉しかったとも言った。

 

 

イタリアではこういう関係が崩れてしまった家族を

引き合わせて交渉するテレビ番組がある。

 

 

C'è posta per te というマリア デ フィリッピ司会の

土曜の夜の大人気番組だ。

 

 

司会のマリアを通して、父のM氏と息子A君がスタジオでお話出来るような、家族問題に取り組む番組だ。

第三者介入無しには取り持てない交渉をマリアが依頼されて引き受ける。

 

交渉は、破綻することもあれば

歩み寄る姿勢を見せて、お互いの間に立てられたスクリーンが取り払われて

抱き合える場合もある。

 

 

亡き義姉は、この番組を見ながら涙するのが大好きだった看板持ち

自分の人生に照らし合わせての同情泣きが気持ち良いのだろう昇天

 

 

まるでこの番組を見ているようで

A君の気持ちを思うと本当に気の毒だけれど

これから長い年月を掛けてでも良いから

お父さんと抱き合える関係になって欲しいと思う。

 

 

A君のお母さんは、糖尿病で足を引きずっている障害者で

まるで亡くなった義姉のように

ずっとずっと人の悪口を言っている人らしい魂

 

 

可哀想なA君。

 

 

そんな中、夫が感心するほど良い子に育ってくれてありがとう。

 

M氏はイタリアで人生が壊れたけれど

モロッコにいた頃からキレッキレに頭が良くて

エンジニアとしてイタリアに渡ってからも素晴らしい職に就いていたらしい。

 

 

人生、上手く行かない時もある。

時には、子供を犠牲にしてしまうこともある。

 

特に、天から類まれな才能を授かったM氏は

勉強とキャリアは上手く行っても

家庭での采配が不器用で上手く行かなかったりする。

 

 

13年間の長い、失われた時間を

今回の事を機に取り戻していける事を祈るよキラキラ

 

 

夫とF女史は、北イタリアからミラノ駅に出て

そこからフィレンツェ行きの電車を運良く見つけて

復路2人で190ユーロ代で帰って来れましたよウインク

 

やれやれ。

 

今回の最大のミッションを果たせて、

とりあえず、おめでとう&お疲れ様〜 オーナメントバレエ