おはようかも🦆
今週火曜日から『源氏物語』の全訳に挑戦し始めた鴨です。
月曜日から金曜日までの平日毎朝5時に投稿。
原文400文字程度を目安に訳していきます。
通勤、通学、家事の合間など、朝のスキマ時間にぜひお楽しみください♪
前回のあらすじ
その人はもともと軽い身分ではなく、後宮での評判も高い上品な貴人でした。ですが帝が一途に側から離さないので、軽々しく扱われているようにも見えます。それが美しい若君をお産みになってからは大変な特別扱い。第一皇子の母君は「皇太子になるやもしれぬ」と疑うのでした。帝はそれを気がかりに感じておられました。
第1帖 桐壺(4)
現代語訳
その人は尊い帝の御庇護を頼りにしておりましたが、上から目線で欠点をあら探しする女御たちが大勢います。体はか弱く、心は繊細な人でしたので、必要以上にいろいろと思い悩んでおられました。
更衣のお部屋は桐壺です。帝がいらっしゃる清涼殿から遠く離れており、桐壺へ通うには女御たちが待つ部屋の前をいくつも通る必要がありました。帝は途中の部屋に立ち寄ることなく、しかも足しげく通われるのですから、素通りされた女御たちが嫉妬するのはいかにも当然なことと思われます。
桐壺更衣が清涼殿へ参上される際も、あまりに頻繁に繰り返される場合には、殿舎へ渡る橋や廊下のあちこちに、えげつないいたずらを仕掛けました。桐壺更衣の送迎に付き添う女房たちの着物の袖が、我慢ならないほどダメになってしまうこともあります。ある時には、どうしても通らないといけない通路の戸を閉じ、桐壺更衣一行の先頭側と後尾側とで息を合わせて鍵をかけ、その間に閉じ込めたことも。更衣たちを困らせて、うんざりさせることが多かったのです。
事あるごとに、数えきれないほどイジメが増すばかり。更衣はどうすればいいのかわからなくなってしまい、大変ひどく思い悩んでおられました。その様子を「なんとかわいそうに」と御覧になった帝は、清涼殿の隣りにある後涼殿に以前から部屋をいただいていた更衣に、他の部屋へ移るよう命じます。そしてその部屋を桐壺更衣にお与えになり、清涼殿へ召された際の控えの部屋として使わせるようにしたのです。追い出された側の更衣は、恨みを晴らすすべもなく途方に暮れたことでしょう。
原文
かしこき御陰を頼みきこえながら、おとしめ疵を求めたまふ人は多く、わが身はか弱くものはかなきありさまにて、なかなかなるもの思ひをぞしたまふ。
御局は桐壺なり。あまたの御方々を過ぎさせたまひて、ひまなき御前渡りに、人の御心を尽くしたまふもげにことわりと見えたり。参う上りたまふにも、あまりうちしきる折々は、打橋、渡殿のここかしこの道にあやしきわざをしつつ、御送り迎への人の衣の裾耐へがたくまさなきこともあり。またある時にはえさらぬ馬道の戸をさしこめ、こなたかなた心を合はせて、はしたなめわづらはせたまふときも多かり。
ことにふれて、数知らず苦しきことのみまされば、いといたう思ひわびたるを、いとどあはれと御覧じて、後涼殿にもとよりさぶらひたまふ更衣の曹司をほかに移させたまひて、上局にたまはす。そのうらみましてやらん方なし。
今日も安らかにあらなむ🍀
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