タイトル:関心領域(原題:The Zone of Interest) 制作:アメリカ、イギリス、ポーランド
あらすじ
ナチスドイツ占領下にあった1945年のポーランド。アウシュビッツ強制収容所で所長を務めるルドルフ・ヘス(クリスティアン・フリーデル)と妻のヘドウィグ(ザンドラ・ヒュラー)は、収容所と壁を隔てたすぐ隣の家で暮らしていた。収容所からの音や立ち上る煙などが間近にありながら、一家は満ち足りた日常を送っていた。(シネマトゥデイより)
マーティン・エイミスの同名小説を、英国のジョナサン・グレイザー監督が映画化。スクリーンに映し出されるのは、どこにでもある穏やかな日常。しかし、壁ひとつ隔てたアウシュビッツ収容所の存在が、音、建物からあがる煙、家族の交わすなにげない会話や視線、そして気配から着実に伝わってくる。その時に観客が感じるのは恐怖か、不安か、それとも無関心か? 壁を隔てたふたつの世界にどんな違いがあるのか?平和に暮らす家族と彼らにはどんな違いがあるのか?そして、あなたと彼らの違いは?(オフィシャルサイトより)
収容所内で起こっている虐殺行為を一切見せず、壁の向う側の音声、音響を聞かせる。
以下、脚本・監督のジョナサン・グレイザーのインタビューの一部。
観客には彼らに自分の姿を重ねて見てもらいたい。大量虐殺を行う彼らを化け物と責めるのは簡単だ。「私は違う」と。でも主人公のふたりも最初は夢を語り合う恋人同士だった。彼らが望むものは私達と何ら変わらない。彼らに自分を投影することが、この作品の狙いでもあった。(メーキング動画より)
暗闇の中、少女が自転車で走り収容所の工事現場にたくさんのりんごを埋めるシーン。
飢えに苦しむ収容者たちの為に、彼らが仕事中にりんごを見つけられるように土の中に置いていた。
この行為は危険を伴う行為であり、りんごを見つけた収容者たちにもまた危険を及ぼすことになるかもしれない。彼らが持っているはずもないりんごを手にしている姿が見つかったら・・・
これは実在の少女がモデルになっている。監督は現地を取材するなかで、90才になったこの少女と出会い話しをしている。その数週間後に彼女は亡くなった。
壁の向うで起きている事を無視して平穏な生活を送り続けるか、または、りんごを置く人になるか。
「自分はどうなんだ」と考えさせられる映画。