1990年、映画「少年時代」に出演なさった岩下志麻さん。
公開初日、もう映画館内に観客が入り照明が落ちた頃、ギリギリに到着した私は急いでトイレに入った。既に観客は席についている時間だったので、私以外誰もいないだろうと思っていたら、そこに洗面台の上の鏡を覗き込む岩下志麻さんが立っていた。
すらっと長身の岩下さんはピンクのスーツを着ており、足はバービー人形のように細かった。予期せぬことに私はただ驚き、そのまま個室に入った。
上映の前、舞台挨拶に岩下志麻さんが現れ、その美しさに感激した。
数日前、久々にTVに出演しているのを拝見した。
現在83才の岩下さんは細身のまま、背筋がピンと伸びて座る姿が美しい。何よりも声と話し方が変わっていなかった。大女優のオーラはそのままである。
篠田正浩監督との結婚のいきさつ、子供のこと、女優として葛藤した時、女優を続けると決意した時のこと、映画「極道の妻」のこと。
「主人が、君は演技をしている時がいちばん綺麗だ、と言ってくれたものですから」女優を続けた理由のひとつだろうか。興味深いお話を聞かせて頂き、どこにも年齢を感じさせないことに感嘆した。
先週末、久々に連絡をとった叔母は82才。美人で聡明、子供の頃から自慢の叔母であった。
9年前、私の母が他界した時に会ったのが最後、それ以降は手紙で連絡を取り合っていた。
久々の声は相変わらず明るく「叔母ちゃん、声が変わらないね」と言うと「顔が変わってしまったんだから、声くらい同じにしないと!」と大笑いしながら即答する。
朝4時半に起きて散歩、夕方4時半に入浴、その後、ひとりで晩酌。毎日のように出かけ、友だちに会い、兄弟に会い、週末は山へハイキング。さすがに登山はやめたらしい。年下の70才代の仲間たちと一緒に旅行へ行くと、時々イライラするという。「すぐにタクシーに乗りたがるのよ」と。
スマホも使いこなし、私よりずっと知識がある。
体型もほとんど変わらないといい、5キロ太ったと白状した私に「お金をかけて綺麗にしなさい!
エステへ通いなさい!」と説教する。
元気な人は他の人の励みになる。