100万本のバラ | Y's Diary

“100万本のバラ”はジョージア(旧グルジア)の画家 ニコ・ピロスマニがモデルとされている。

 

貧しい絵描きが女優に恋をし、街中のバラを買い、彼女のまわりを100万本のバラで埋め尽つくす。しかし、その女優は次の公演の為に街を去って行く、失恋の曲である。ただし、100万本のバラを

贈ったことはフィクションであるらしい。

 

「この歌の本当の意味は、たとえ失敗しても自分の思いをしっかり表現して伝えることが大事なんだという、ポジティブなメッセージが込められていることに気づきました」と、この歌をほぼ40年間唄い続けている加藤登紀子さん。

 

加藤さんは2022年に「百万本のバラ物語」の本を執筆。

“敗れることを怖れず、夢を抱き続ける勇気”

「この歌を生み出したすべての人に、この歌を愛したすべての人に、どんな時も共に生きていると

 伝えたくて、この本を書きました。どんな時も、今生きているあなたが主人公であり、希望です 」

(プロローグより)

 

遼寧省・葫蘆島から日本人が引き上げる時の写真を元に描かれた絵がある。

中国人画家・王希奇さんの作品、戦後に旧満州(中国東北部)に残された邦人の引き揚げを描いた

巨大絵画「一九四六」。満州から引き揚げる少女の写真を偶然見て心を動かされて描いた大作は

縦三メートル、横二十メートル。港で帰国を待つ大勢の人々が描かれている。

 

中国・ハルビンで生まれ、二歳八カ月で引き揚げた加藤登紀子さんは、一見すると人々の悲壮な姿に

見えるこの絵を「そこに希望が見える」という。

 

ご自身の母親から「引き揚げの旅は素晴らしい旅だった。今を精いっぱい生きたことをみなが共有し

船に乗っていった」と聞き、みんな生きようとする姿に素晴らしさがあることを感じたという。

 

加藤さんはこれからも世界の平和を願いながら「金継ぎの作業を歌で行う」と語る。

 

金継ぎとは、欠けたり割れたりしてした器を主に漆と金粉を使って修復する日本の伝統技術のこと。

金繕い、金直しとも呼ばれ、金粉を蒔いて仕上げをすることで、継ぎ目がまるで新たな模様のように

なり、世界にひとつしかない特別な器になる。

 

「傷がその作品の存在価値になる」という素晴らしい言葉に巡り会えた。

 

心の金継ぎ。丁寧に時間をかけて金継ぎをすれば、そこに新しい価値観が生まれ新たなものに生まれ

変わる、と考えればじっくり自分と向き合う覚悟ができるような気がする。