映画『8月の家族たち』(原題:August: Osage County)
出演:メリル・ストリープ、ジュリア・ロバーツ、サム・シェパード
舞台はアメリカ・オクラホマ州オーセージ郡
平原に囲まれた田舎町に住む夫・ベバリー(サム・シェパード)と妻・バイオレット(メリル・ストリープ)。夫は物静かな詩人でアルコール中毒、妻は初期の口腔ガンを患い、薬物中毒。
3人の娘たちはそれぞれ独立してよその土地で暮らしている。
ある日、夫がハウスキーパーを雇い、その数日後、ひとり家を出て失踪した。
それを聞きつけて他の土地に住んでいる3人の娘が故郷の実家へ集まる。
長女の夫と14歳の娘、次女、三女の末っ子は婚約者を連れて来る。
妻・バイオレットの妹家族もやってくる。
数日後、ベバリーは湖で発見された。
セレモニーの後、自宅で大きなテーブルを囲んで家族が集まり会食をする。
その席でバイオレットは家族たちを強烈な毒舌で追い詰める。
バイオレットと長女・バーバラは激しくぶつかり合う。
それぞれが抱える問題が見えてくる。
そんなカオスな状態の中を、皆のグラスに目を配りワインを注ぐジョナの姿が印象的である。
どんな時でも、自分の仕事、やるべきことに集中している姿は美しく見える。
夫・ベバリーが失踪したのは私のせいだけではない!と怒りをぶつけるバイオレット。
長女のバーバラがこの家に残っていれば夫は失踪などしなかった、
この家にたったふたりだけで暮らすことがどういうことか、この暗い中で!
荒涼とした土地の中にポツンと建つ家。
集まった家族がまた皆離れて行く。
最後にひとり残されたバイオレットが助けを求めたのは、最初に軽視し嫌っていた住み込みのジョナである。狭いジョナの部屋の階段を「ジョナ、ジョナ」と呼びながら上ってくる。ジョナはバイオレットに何が起こったのかわからず、躊躇いながらも彼女の差し出した手を優しく受け止める。
毒舌で人を傷つけることを厭わないバイオレットも、たったひとりでは生きていけない。
昔の友人が50歳を過ぎてから長く住み慣れたLAを引き払い、オクラホマ州の名も知れない小さな町に移住した。なぜ、その町を選んだのか。
彼はNYに生まれ、大学を卒業してからはずっとLAの都会で暮らした。両親は既に他界しているが、
NYにいる兄家族、LAにいる姉家族のどちらとも距離をおき、友人や知人がいるわけでもない小さな
町を選んだ。
どんな町だろうと映像を探してみたが詳細がわかるようなものはなかった。
この映画を観て「こんなところかも知れない」とそこに住む友人の姿を想像してみる。
彼にはずっと長い間そこに住む年上のルームメイトがいるという。
それを聞いて少し安堵している。