塩加減は難しい? | 塚本有紀のおいしいもの大好き!

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塩加減は難しい?

塩加減とは簡単なようでいて、とても難しいものです。

 

日常の塩加減にはとくにだれも問題は感じないと思いますが、いざあらたまって料理をするときは少し身構えてしまうものです。

 

いろいろな場合があるのですが、結論から言えば、私は「困ったら0.85%で」と伝えます。

なぜこんな数字かといえば、生理食塩水の濃度(=人体の塩分濃度)が0.8〜0.9%だから。

 

困ったらというのは、その方がもし塩の見当がつかないなら、という意味です。日常ならいちいち量らないでしょうが、初めての料理のとき、大量に仕込む必要があるとき(ぶれたら、量が多い分、大変)、時間がないとき(直したり考えたりする時間がもったいない)などなど、そんなときにはたいていこの数字でまず問題ないと思います。

 

私もあとから補正できない料理などはまず0.85で試作してみて、そのあとで小さく数字を触ります。

それは料理、材料、時間によって変わる可能性はあるのですが、基本的にはこの数字で薄すぎてどうしようもない、とか、濃すぎて食べられない、ということはないということです。

 

もちろんそれは基本的な話しであって、ほかにもいろいろ違う塩分の濃度設定をしています。

たとえばマリネにするとき、時間があるならこれでOKですが、時間がない(たとえば教室内の場合)ときは1.2%くらいに設定することもあります。テリーヌなどの加工品は1.3とか1.4など、塩漬け肉のときはもっと必要になります。脂ぎっているときは多めだけれど、あっさりした肉質のときは少なめ、などなど。

 

少し減らしたほうがよい場合は、塊の大きなお肉を焼く場合です。塊の場合、細切れの肉よりも表面積が小さくなり、そこに同じだけの0.85の塩がすり込まれると、噛んだときの塩の感じ方が強すぎることもありえます。内側に塩をすることができない分少々は強いほうがよいのですが、あまりに強いのは考えもの。

というわけで、大きな塊の場合は、少し前から塩をして内側に浸透させておくか、あるいは少し減らし気味にすることもあるのです。