カレーの「旧ヤム邸」へ | 塚本有紀のおいしいもの大好き!

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フランス料理とお菓子の教室を開いています。おいしいものにまつわる話し、教室での出来事など、たくさんお届けします。
 


大阪・空堀商店街にある「旧ヤム邸」に行ってみました。
大阪市中央区谷町6-4-23
http://kyuyamutei.web.fc2.com/index.html

いつ通りかかっても、カレーのにおいがしません。
不思議!とずっと思っていました。

がらっと昭和のガラス戸を開けてみると、ふわっと漂うのはスパイスの香り。しかもそれはたくさんの種類が混じったにおいで、かつ挽き立てのフレッシュさ。
普通のカレー屋さんじゃなかったらしい、と気がつきました。

お昼のカレー膳を注文してみました。左が鶏皮の黒カレー(びっくりすることにしゃばしゃばの液体)と、右がマトンと豚肉のカレー

一口食べてみると、
やっぱり複数のスパイスの、ものすごくフレッシュ、かつ挽き立ての香りが口中に広がります(扉を開けた瞬間のにおいはここから来ていたのです)。
これはものすごくおいしいものに出会いました。
いわゆる黄色い「カレー」を期待する人にはちょっと違います。
パンチが効いていて、えらくシャープな料理です。

じつは私は「昨日のカレー」とか「昨日のおでん」にあまり惹かれません。寝かせると、たしかになじんで丸みはでますし、素材に調味料の味は沁み込みます。でもそれは同時に輪郭をなくし、素材自体がちょっと死ぬことを意味すると思うから。
そんな私には、このエッジのたち加減、たまりません。
これは、スパイスについて考え抜いた方々の作る料理だと思われます。

磨りガラスのむこう(=厨房があると思われる)で、お兄さん達ががりがりとカルダモンやコリアンダーの粒を乳鉢で挽いている姿を勝手に想像しながら、楽しく頂きました。