信楽発、苦み走った煎茶の「大人ロール」 | 塚本有紀のおいしいもの大好き!

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煎茶の「大人ロール」(名前未定) 朝宮茶「茶のみやぐら」製


昨年の秋、友人のつてで、信楽(滋賀県)の朝宮茶の茶園のお嬢さんが、ロールケーキを持って尋ねてこられました。

それは自家農園の煎茶をふんだんに使ったロールケーキでした。一口食べて、びっくりしました。
クリームはきりりと苦く、煎茶の深い香り、かつ上品な旨味が感じられます。
それは万人受けする優しさではないかもしれませんが(子供にはちょっと無理かも)、目が覚めるようなインパクトです。抹茶のロールケーキはもういいかも・・・と思わせられるような大人味のおいしさでした。

その思い切りのよい苦さと煎茶のふんだんな使いっぷりは、自園であるからこそでしょう。
「抹茶とは違う、煎茶のおいしさを前面に出したいのです」
お嬢さんはもうすぐ自店でロールケーキを販売するための試行錯誤中で、意見を聞きに来られたのでした。
お茶以外のものもすべて真っ当な材料を使い、真っ当な食品として販売したいとの、若いお嬢さんの気持ちに少しでも応えたいと思いました。
同じ滋賀育ちの私は、なおさら応援したい気持ちに。


今回お持ちくださったのは完成間近のもの。
前回より少し丸みを帯びた味になりました。ビスキュイもふわふわなだけでなく、安定した食感です。

生クリームのメーカーを変えると、煎茶の味の立ち方が全然違ってきたのだそうです。たしかに法律上は同じ「クリーム」に位置づけられるもの(=生乳だけを原料とし、乳化剤などは含まないもの)であっても、各社で味や食感、乳風味は全然違います。
また違うメーカーの生クリームを試したのに、結果が同じような味の立ち方の2社があり、不思議だなあと思ったそう。たんに泡立てただけの生クリームの味は違っていたにも関わらず、です。あとから両社の原料乳が同じであることが分かったという、興味深い話しも聞かせてくれました。

最近はずっと午後のお茶の時間にお煎茶を、自宅では毎晩夕食後にこちらのほうじ茶を頂き、くつろいでいます。



大人ロール(名前は未定)はお持ち帰りのみで、販売は1月23日よりだそうです。

お近くの方、ぜひいらしてみてください。びっくりされること請け合い! そして抹茶とはまた全然違う、煎茶ならではの大人のおいしさを、ぜひ味わっていただきたいと思います。
朝宮茶 茶のみやぐら
滋賀県甲賀市信楽町下朝宮39-1
http://www.chanomiyagura.com/

私もできるだけ早く行ってみたいと思っています。
ちなみに写真奥は、プリンの抹茶、煎茶、ほうじ茶です。