映画「マルセルの夏」 | 塚本有紀のおいしいもの大好き!

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お正月に
プロヴァンス物語「マルセルの夏la groire de mon pere」と続編の「マルセルのお城le chateau de ma mere」をDVDで見ました。

1990年 原作者 マルセル・パニョル(フランスの劇作家) 監督:イヴ・ロベール

途中に1900年代のフランスの地方でのパンのあり方が登場するからと、パン屋さんに貸していただいたもの。

原作者の少年時代の思い出が、プロヴァンスでの一夏のバカンスを通して描かれています。
全能にも思われる父への敬愛の念、優しい慈愛にみちた母へのまなざし、友達になった少年との友情。美しい自然や当時のフランスの生活や田舎での楽しみなどなど、全編を通して美しく愛にあふれた映画です。

大きな塊のパンが、途中に登場します。もりもりにのせたバターがまたおいしそう。
その頃、地方のパンは、都会に発生したバゲットのようでなく、大きな大きな塊のままです。父親と一緒に食料品店に買いにいく様子、食卓で母親にバターを塗ってもらって手渡される様子などもでてきて楽しめます。本の中だけで知る情景が、映像となって見えるのは心楽しいものです。

そしてプロヴァンスではクリスマスに「13のデザートtreize desserts de Provence」という名の、ナッツ類やヌガー、カリソン、ポンプ(パンの一種)など13個のデザートを食べますが、このシーンも登場します。現代のパリでもこれらは売られているのですが、やはりせっかくですからプロヴァンスの風景の中にある姿を見てみてください。

続編の「マルセルのお城」は、展開に若干の無理があるようにも思えましたが・・。後からこの映画は原作者の回想録と知り、「実話なら、じゃあ、仕方ないか・・」と、嘘のような素敵な終わり方に納得です。

劇的な何かがあるわけではありませんが、とてもよい映画でした。ゆっくり時間のある方にはおすすめします。
パニョルの回想録「少年時代」も読んでみようかと思っています(次のお正月かも!?)