おいしい朝ご飯のために・・ | 塚本有紀のおいしいもの大好き!

塚本有紀のおいしいもの大好き!

フランス料理とお菓子の教室を開いています。おいしいものにまつわる話し、教室での出来事など、たくさんお届けします。
 

2010年10月31日

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落ち葉が舞い始める美しい季節。パストゥール通りから望むエッフェル塔。

朝ご飯のバゲットを買うために、
フランスパンデ・ガトー・エ・デュ・パンへ
des Gateaux & du Pain
63 boulevard Pasteur 15e

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店内も黒が基調で、統一された美意識を感じます。「街角のパン屋さん」というには、ちょっと垢抜けすぎています(だから昔ながらの風情を愛する人には、少し違うのだそう)。
朝から黒服のお兄さんが応対してくれて、ぼんやり寝ぼけた頭が少し緊張します。パン屋さんといえば、奥で職人さんが働き、表はちょっと風格のあるマダムが取り仕切る・・・というイメージがありますが、ここはまるで先端のお菓子屋さん。

$塚本有紀のおいしいもの大好き!-デ・ガトー・エ・デュ・パン


バゲット・オ・ルヴァン(1.4ユーロ)もパン・オ・フィグ(4.5ユーロ)もともに天然酵母のパンで、はっきりとした酸味と旨味があり、文字通りの力強い味わいです。濃い焼き色、しっかり固い食感。朝からは無理・・・でしたが、午後からならバターやチーズと一緒においしく頂けそうです。
クロワッサン(1.2ユーロ)は、パン屋さんというよりは、お菓子屋のもの。形はとてもきれいで、がっしりしっかり目に見えます。食べてみると、中もしっかり層状。でもなぜか歯切れがよい、不思議な食感でした。通常とはちょっと違うタイプながら、おいしいクロワッサンでした。

そのままフランスパンピシャールへ
Pichard
88, rue Cambronne 15e
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テリアン先生のおすすめの「ピシャール」は、愛される町のパン屋さんといった風情。いかにも15区らしい雰囲気の、食べ物屋さんの多い界隈にあります。
「バゲットじゃなくて、バゲット・ピシャールを買うように!」と念を押されました。噂のそのバゲット(1/2本でE0.5)は、若干ぺたっと潰れた形。しっとりもっちり系で、ぼこぼこ気泡が入っています。はっきりとした小麦の甘みが感じられ、とてもおいしいものでした。バゲットが入れられている袋には、お店の歴史やパンへの思いがいっぱい書かれているのですが、その中には「はっきりと明確な説明はできない発酵というものこそが、ミステリアスなへーゼルナッツの風味を与えるのです」との一文が。先に読んでから味わえばよかった! でも私の感じた甘みは、きっとヘーゼルの風味へつながるのでしょう。


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このお店はガレットでも、クロワッサンでも賞を取っています。クロワッサンは、とびきりよいバターの香りが広がります。形はわりとがっしりしているように見えるのに、層は薄い薄い、例えるならシルクのような繊細さ。でも一つ0.95ユーロとごく当たり前な価格設定です。甘みもあって、とてもおいしいものでした。今回、たくさん食べたなかの2番目においしいクロワッサンです。

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さてアパルトマンに戻り、朝ご飯のためにオムレツを作ります。
使うのは、ルエLouéの鶏の卵。この鶏には、おいしさの証しラベル・ルージュがついています。これは農産物の品質を保証するマークであり、鶏としてはAOP(原産地保護名称)を持つブレスに次ぐような存在でしょうか。
その卵を使って、ふわふわのオムレツにしました。
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ノルマンディのイジニーIsigny産のバターも買ってあります。たっぷりバゲットに塗って、発酵バターの風味を堪能します。表現を間違えました。バターは塗るものではなく、パンにのせて囓るものです。
写真の奥は、「フェセルfaisselle」という、フロマージュ・ブランの一種。フェセルとは水切りかごの意味です。容器の中には、水分を切るざるのようなものが入っています。ちょっとざらっとした食感ですが、独特の風味はなかなかにおいしいものです。