天の川 夜船漕ぐ | 雪太郎の「万葉集」

雪太郎の「万葉集」

私なりの「万葉集」解釈
カレンダー写真は「鴻上 修」氏撮影

 我が背子にうら恋ひ居れば天の川 夜船漕ぐなる梶の音聞こゆ

  巻10 2015 柿本人麻呂歌集

 いとしい夫(せ)の君に早く逢いたいと待ち焦がれていると、時あたかも天の川から夜船を漕いでやってくる(らしい)櫓の音が聞こえます

『秋雑歌』の中の「七夕(しちせき)」を詠んだ歌群の一つ。牽牛星と織女星の逢会(ほうかい)の次第に従って並べられています。(牽牛が川を渡って逢いに行く)というところが中国の伝説とは逆になっています。七夕を「たなばた」というようになったのは日本には古くから、聖なる人との出会いを願って機織りをする清らかな乙女「棚機津女(たなばたつめ」がいるという伝承があったからで、やがて「豊作を祈ったり穢れを祓う禊の行事」となり「五節句」の一つになりました。

 「うら恋」の「うら」は(心)で(心中に恋しく思う)という意味になります。「なり」には存在を表す「に在(あ)り」と伝聞を表す「音(ね)あり」の語源の異なる二つがありますが、この場合は後者で(音や声から)事態を推定し「らしい」の意味で使われています。「」は上代特有の助動詞で「自発」の意味で使われていますが、他に「受身・可能」の意味でも使われました。「聞こゆ」は中古以降も使われましたが「」が主流になってからの使用は「あらゆる・いはゆる」などに「痕跡」をとどめるのみになりました。

「奈良県宇陀郡曽爾村」は、NPO法人「日本で最も美しい村」連合に加盟しています。加盟条件は、人口が1万人以下であることの他に景観や文化についていくつかの条件がつけられています。2,005年北海道美瑛町・赤井川村、山形県大蔵町、岐阜県白川村、長野県大鹿村、徳島県上勝町、熊本県南小国町の7町村でスタートし現在は63町村が加盟しています。