「ほととぎす」① | 雪太郎の「万葉集」

雪太郎の「万葉集」

私なりの「万葉集」解釈
カレンダー写真は「鴻上 修」氏撮影

 あしひきの山ほととぎす汝が鳴けば家なる妹し常に偲はゆ

  巻8 1469 沙弥

 人里離れた山の霍公鳥(ほととぎす)よ お前が鳴くと家に残してきた妻のことが絶えず思い出されてならない。「ゆ」は上代特有の助動詞、ここでの意味は「自発」。

「沙弥(さみ)」は人名ではなく(仏門に入って十戒を受けたばかりの僧)を意味するようです。万葉集には「ホトトギス」を詠んだ歌が156首、家持だけでも65首あるそうです。(153首という本もありました。自分で数えたことはありません。)

 ホトトギスに限らず鳥一般が人の魂を運んでくると考えられていました。「万葉集」にはホトトギスの声を聞くと過去を思い出すという歌がたくさんあります。

「ホトトギス」を表わす漢字は、中国の故事や伝説にまつわる「杜宇」「蜀魂」「不如帰」の他にも「子規」「時鳥」「霍公鳥」「田鵑」など多数存在します。

 また、ウグイスなど他の鳥に子育てをさせる「托卵」も有名です。そのためウグイスなどより日本に渡ってくる時期が少し遅くなります。

 鳴き声は、聞き様により「本尊(ほんぞん)かけたか」「てっぺん禿げたか」「特許許可局」に聞こえると言われますが名前のごとく「ホトトギ」と聞こえるとも言われます。また、口の中が赤いことから、鳴きながら血を吐くとも血を吐くまで鳴くともいわれ、それが肺結核を患った「正岡子規」の名前の由来にもなりました。

 「サナエドリ」「イモセドリ」「タオサドリ」「アヤメドリ」など農作業や季節の花の名前などに関連した別称もあります。