韓国語教室の生徒さんたちが嫌いなものの1つが二重パッチムです。
以前、二重パッチムの基本的なルールについて、書いたのですが、今回は、さらにちょっと気を付けるべき点について書きたいと思います。
前回の記事の要点としては、
・ほとんどの二重パッチムが左のパッチムを発音する。
・でも、【ㄺ】【ㄻ】【ㄿ】だけは、右側の音を読む。
・特殊な【ㄺ】【ㄻ】【ㄿ】の覚え方は、右側の音【ㄱ】【ㅁ】【ㅍ】をヒントに「구마(クマ)の페(ペ)さん」で覚える。
詳しくはこちらの記事をどうぞ。
ですが、この基本ルールに加えて、気を付けることがさらにあります。
【ㄺ】 に関する注意点
右側の音を読む「クマのぺさん」こと 【ㄺ】【ㄻ】【ㄿ】 のパッチムのうち 【ㄺ】 には、気を付けなければなりません。
例えば、【읽다】(読む)。ルール通り、右側のパッチムだけを発音すると【익따】です。
ですが、【ㄱ】の音から始まる活用語尾につなげる場合、【ㄺ】の【ㄹ】の方を発音するというルールがあります。
【ㄱ】の音から始まる活用語尾というのは、【-고】とか【-거나】とか【-게】などです。
具体的な例でみていくと・・・
動詞【읽다】の場合
【읽다】+【-고】(~して)=【읽고】→発音は、[일꼬](読んで)
【읽다】+【-거나】(~たり)=【읽거나】→発音は、[일꺼나](読んだり)
【읽다】+【-게】(~するように)=【읽게】→発音は、[일께](読むように)
形容詞【맑다】の場合
【맑다】+【-고】(~して)=【맑고】→発音は、[말꼬](清くて)
【맑다】+【-거나】(~たり)=【맑거나】→発音は、[말꺼나](清かったり)
【맑다】+【-게】(~く)=【맑게】→発音は、[말께](清く)
すべて【ㄺ】の【ㄹ】の方が発音されます。
※【-고】【-거나】【-게】の音が、すべて【-꼬】【-꺼나】【-께】と濃音になっているのは、「口音パッチム(k, p, t)+ㄱ, ㄷ, ㅂ, ㅅ, ㅈは、濃音化(ㄲ, ㄸ, ㅃ, ㅆ, ㅉ)する」という「濃音化のルール」が適用されています。
ですが、この法則は、用言の単語にのみ限定されています。
用言というのは、活用をする動詞、形容詞のことです。
例えば、【닭고기】(鶏肉)をみてみましょう。
【닭】のあとに【ㄱ】の音が来ていますが、発音は、 [닥꼬기]です。
【닭고기】 は、名詞です。用言ではありません。活用して【ㄱ】につながっているわけでもありませんので、【읽고】が[일꼬]になるルールの条件には当てはまりません。
超特別扱いの【밟다】
最後に、超特別扱いの単語を1つ紹介します。
「踏む」という意味の動詞【밟다】は、「クマのぺさん」ではありませんので、本来なら左側のパッチムを発音すべきです。でも、この動詞だけは特別に右のパッチムを発音します。
ですので、[밥따]が正しい発音になります。
【밟다】+【-고】(~して)=【밟고】[밥꼬](踏んで)
【밟다】+【-지】(~するよ)=【밟지】[밥찌](踏むよ)
【밟다】+【-게】(~く)=【밟게】[밥께](踏むように)
まとめ
以上、長くなりましたが、要点は
①二重パッチムは基本的に左を発音。
②でも、「クマのぺさん」(【ㄺ】【ㄻ】【ㄿ】)は、右を発音。
③けれど、「クマのぺさん」の 【ㄺ】は、活用して 【ㄱ】の音に続くときは左の【ㄹ】を発音する。
④例外的に、動詞【밟다】は特別扱いをして、右を発音。
となります。
難しいようで、簡単なようで、でもやっぱり複雑ですかね?