前回に引き続き、今回も【-을/를】について書きたいと思います。
前回のまとめで【-을/를】は目的語を示す、他動詞と相性が良いということを書きました。
でも、やはり例外や特別な形というのが存在します。
まず、厄介なのが【가다】と【-을/를】の組み合わせです。
【가다】は「行く」という自動詞です。
日本語では「~を行く」とは言いません。何を行く?とはなりません。
ですが、韓国語の文を見ると、他動詞と仲良しのはずの【-을/를】が、【가다】と一緒に使われていることがたくさんあります。
結論から言うと、
【가다】は、自動詞だけれど、いくつかの特殊な場合には【-을/를 가다】というように他動詞的な使い方をします。
では、その「いくつかの特殊な場合」を見ていきましょう。
①動作性の名詞と共に使われる場合
もっとも多い【 -을/를 가다】 の形が動作性名詞と共に使われるパターンです。
日本語では「旅行に行く」と言いますが、韓国語では【여행을 가다】(旅行を行く)と言うのが一般的です。
この【여행】(旅行)のように、動作を表す名詞(特に、移動的な動作を表す名詞)が前に来て、その動作の目的のためにどこかに移動するという意味がある場合 【-을/를 가다】の形をとります。
여행을 가다. (直訳:旅行を行く=意訳:旅行に行く)
他にも【動作性名詞+ -을/를 가다】になる例を挙げてみます。たくさんあります。
등산을 가다. (直訳:登山を行く=意訳:登山に行く)
쇼핑을 가다. (直訳:買い物を行く=意訳:買い物に行く)
유학을 가다. (直訳:留学を行く=意訳:留学に行く)
성묘를 가다. (直訳:墓参りを行く=意訳:墓参りに行く)
도망을 가다. (直訳:逃亡を行く=意訳:逃げる)
휴가를 가다. (直訳:休暇を行く=意訳:休暇に行く)
산책을 가다. (直訳:散策を行く=意訳:散策に行く)
②ある経路を通じての移動を意味する場合
次は、ある経路を通じて移動するという意味で使われる場合です。
例えば、【길】(道)を通って移動する・・・と言う場合、次のように、【길을 가다】で表現します。
日本語に直訳するなら「道を行く」という文になり、変な感じになりますが、韓国語では自然です。
길을 가다. (直訳:道を行く=意訳:道を通って行く)
③「身を寄せる場所」に入る意味で使う場合
例えば、「学校に行く」「軍隊に行く」を韓国語にすると【학교에 가다】【군대에 가다】とも言いますが、【-을/를 가다】 を使うことがあります。
直訳すると「学校を行く」「軍隊を行く」となりますが、意味としては、「行く」というより、「学校に入学する」「軍隊に入隊する」というように、その場所に「入る」というニュアンスで使われます。
また、慣用表現として、「女性が結婚する」「男性が結婚する」はそれぞれ、【시집】(嫁ぎ先)、【장가】(妻をめとること)と言う名詞をつかって、次のように表現します。
시집을 가다. (直訳:嫁ぎ先に行く=意訳:女性が結婚する)
장가를 가다. (直訳:妻をめとることを行く=意訳:男性が結婚する)
④期間を表す単語と共に使われ、ある状態が維持されることを意味する場合
最後は、期間を表す単語と共に使われ「続く」という意味で用いられるパターンです。
「3日間続く」「1か月続く」と言う場合、次の例文のように【-을/를 가다】 で表現します。
그 생각은 한 달을 가지 않았다.
(直訳:その考えは1か月行かなかった=意訳:続かなかった)
삼일을 못 가서 바로 포기 했었어요.
(直訳:3日行かず=意訳:続かず、すぐにあきらめました)
他動詞、自動詞、目的語・・・文法用語がいろいろあってなかなか厄介なのですが、韓国語を勉強する上でこの概念をなんとなくでもつかんでおくと後々とても楽になります。
【-을/를】 の使い方はややこしいように見えますが、きちんとひも解くと理論に基づいているので、一度ぜっくり向き合ってみるのがいいのかなと、個人的には感じています。