自宅で韓国語教室をしているのですが、韓国語の助詞の難しさに戸惑う方も多いです。
特に、日本語と違う使い方をする【-을/를】(~を)というう助詞には苦戦される方が多いです。
日本語だったら「~に乗る」っていうのに、韓国語では【-을/를 타다】(~を乗る?)って言いますし、
日本語だったら「~が好き」っていうのに、韓国語では【-을/를 좋아하다】(~を好き?)っ言いますし、
たしかに厄介です。
日本語と韓国語の品詞の区分、動詞の区分に少し差があって、どうしてもこういう問題が出てくるのですが・・・この問題について説明をすると、ちょっと文法用語を聞く羽目になりまして。
文法用語OKという生徒さんには、以下の説明をします。
(文法用語アレルギーのある方には、「じゃあ、理屈抜きで覚えましょう」と言っていますので、読者のみなさんも、お好みで)
【-을/를】は、目的語につく助詞
【-을/를】 は、 【-을/를】 の前に付く名詞や代名詞などがその文の目的語であることを明確にするために存在する助詞です。
「目的語」って何かというと、動作のターゲット、対象。
【밥을 먹다】(ごはんを食べる)
【먹다】の対象は何?【밥】です。
【밥】が、【먹다】と言う動詞の目的語です。
それを明確にするために【밥】に【을】をつけます。
【-을/를】は、他動詞と仲が良い
【-을/를】は、前にある名詞や代名詞が、その後に続く動詞の「目的語」だということを示す助詞です。
そして、そのことは、【-을/를】 が動詞の中でも「他動詞」と呼ばれる動詞と相性が良いということにつながります。
動詞は大きく2つの種類にわけることができます。それが自動詞と他動詞です。
この区別をしっかりできていると、どんな外国語の勉強も理解がしやすいのではないかと思います。
自動詞とは
自らの動きを表す動詞です。動作・作用が他には及ばず、自らの動きだけで完結し、目的語が不要。「~が(이/가)+自動詞」と言う形をとります。
下の例の〈열리다〉(開く)〈보이다〉(見える)は自動詞です。
문이 열리다. (ドアが開く)
경치가 보이다.(景色が見える)
他動詞とは
動作が他に及ぶ動詞です。動作の対象である目的語が必要。多くの場合「~を(을/를)+他動詞」の形をとります。
下の例の〈열다〉(開ける)、〈보다〉(見る)は他動詞です。
문을 열다. (ドアを開ける)
경치를 보다. (景色を見る)
「~が好き」が、【-을/를 좋아하다】になるのはなぜ?
よく日本人学習者がとまどうのが「~が好きです」という日本語を韓国語にする時。
韓国語では【-을/를 좋아하다】になります。なぜ?
答えは簡単、【좋아하다】は、「~を好む」という動詞です。
しかも「他動詞」だからです。
他動詞には、動作の対象となる目的語が必要。
目的語には【-을/를】をつける、それだけです。
日本語の「好きだ」は、形容動詞です。でも、
韓国語の【좋아하다】は動詞です!「~を好む」という動詞です!
例えば、「音楽が好きだ」を韓国語にしてみましょう。
【좋아하다】を「好きだ」と訳してしまうから、「~が好きだ」と言いたくなるのです。
でも、【좋아하다】は、「~を好む」という動作を表す他動詞なのです(しつこいですが)。
何を好む?好むものは何?好む対象は何?「音楽」です。
じゃあ、「音楽」が目的語だってわかるように 【-을/를】 をつけよう!という流れです。
음악을 좋아하다. (音楽を好みます=音楽が好きです)
「~に乗る」が、 【-을/를 타다】になるのはなぜ?
「~に乗る」を韓国語にする際使う動詞は、【타다】です。
【타다】を辞書で見てみてください。横に「他」って書いてあるはずです。
「他」というのは、「他動詞」の「他」。
つまり、【타다】が「他動詞」ってことを意味しています。
【타다】は、「~を乗る」という意味のある他動詞です。
例えば、「乗る」対象物がバスなら、目的語であることを意味する 【-을/를】 を「バス」につけて次のように表現するということになります。
버스를 타다. (バスを乗る=バスに乗る)
どちらの場合にも、日本語の「~が好きだ」「~に乗る」につられて騙されそうになりますが、冷静になりましょう。
今は韓国語の世界にいます。韓国語の分類に従いましょう。
韓国語の【좋아하다】は、「~を好む」という他動詞です。
また、韓国語の文法では【타다】も「~を乗る」という意味の他動詞です。
(※日本語では「乗る」は、自動詞となるのですが・・・)
他動詞には、目的語を表す【-을/를】が必要だということ、これが大切なルールです。
とはいえ、世の中には例外がつきものです。
自動詞なのに、【-을/를】がついてる、ってこともありまして、そのような特殊なパターン、気を付けるべきパターンについては、また別の機会に書きたいと思います。