最近は、韓国の小説やエッセーの邦訳がどんどん進んでいます。本当に時代が変わったなあと思いますし、とても嬉しいことです。
とはいえ、長年、韓国語を勉強してきた人間としては、「韓国の小説は、韓国語で読みたい!」という気持ちが強く、教保文庫から取り寄せたり、韓国に旅行にいくという生徒さん(私の語学教室の)に、「買って来てくれませんか?」とお願いしたりして、地味に韓国小説読書をしています。
で、最近読んでいるのは、女性作家、양귀자(梁貴子;ヤン・キジャ)さんの小説、『원미동 사람들』。
日本でも『ウォンミドンの人々』というタイトルで出版されています。
内容を簡単にまとめると、「1980年代、都市開発のためソウルを離れて町外れに住む、貧しいながらも善良に生きる人々の話」で、11編からなる短編小説です。
大きな盛り上がりがある小説ではありませんが、庶民の様子がおもしろく、丁寧に描かれていて、私は好きなタイプの小説です。
で、なぜ、この本を選んだかと言う話を今日はしようかと思います。
いつも、「どの本を読もうか」「どの本を買おうか」すごく迷ってしまいます。先ほども書いたように、私は韓国語の本を教保文庫から取り寄せたり、韓国に行く方に、「買って来て」とお願いしたりして、購入していています。
なので、直に本を手に取って中を見ることができません。事前にネットで慎重に、口コミとか、試し読みとかして選ぶわけです。
教保文庫から買うと、海外送料がめちゃ高いんです。買って来てもらうのも、何十冊も!というわけにもいかず、否が応でも慎重に選ぶことになるのです。
でも、迷います。
ベストセラーを買う、というのも1つの方法ですが、「ベストセラー=面白い、最高!」かどうかも見極めが必要です。
そこで、私は「ベストセラー」よりも、韓国語で言うところの「스테디셀러(ステディーセラー)」、つまり「ロングセラー」の本に注目します。
『원미동 사람들』(ウォンミドンの人々)を読む前に、同じヤン・キジャさんの『모순(矛盾)』という本が、ロングセラーであり、ベストセラーであることを知りました。
どうやら、『모순(矛盾)』という小説は、もともと発売されたのは1998年なのに、2023年に再度、装丁を変えて出版され、ベストセラーになっているというのです。
これはすごい本かも?と思い、『모순(矛盾)』を読んでみたら、面白く、その流れで、ヤン・キジャさんの代表作『원미동 사람들』(ウォンミドンの人々)を読んでいるという経緯です。
かなり、韓国の小説が世に浸透してきたとはいえ、原本を買うのはまだちょっと手間もかかり、そのため、選ぶのに慎重になってしまうというこの現状。
いつか、これも変わって、韓国語の小説本がもっと手軽に入手できる時代も来るのだろうなあと期待しながら思っています。