
息子と二人、実家に帰省した。
田舎町唯一の買い物スポットへ行き、食材や日用品の買い出しをしたときのことだ。
車道を狭んでこちら側にスーパー、あちら側にホームセンターがある。
辺りには他にもケータイショップや、産直市場なんかもある。
私が学生だった昔、このエリアへ来たときには、まるで歩行者天国かのごとく、あいだの車道を好き勝手に歩いて渡っていた。
ちょっと向こうに横断歩道はあるけれど、車は全然来ないし、人もまぁ一少ないから、大人も子どもも皆平気な顔で、縦横無尽に道路を渡っていたのだ。
今回の帰省時、この車道に珍しくパトカーが停まっていた。
帰宅後父に聞いたところ、車両の一旦停止を取り締まるために最近時々来るようになったらしい。
こんなに車の少ない道で、警察さんお疲れ様です!
と思いながら私は、昔のようにここを好きに渡ろうと、横断歩道のない車道で向こう側へ一歩足を踏み出した。
瞬間、パトカーからマイクの大声がした。
「歩行者の方(=私)
横断歩道を渡ってください!」
え?と一瞬、何を言われたか分からなかった。
お恥ずかしい話だが、注意されると思わなかったのだ。
このエリアだけは無法地帯だと錯覚していた。そんなわけが無いのに。
昔の私たちがおかしかっただけだ。
すいませんー!!と頭をかきながら、一歩踏み出した足を戻した。ちょっと遠くの横断歩道へ行き、道を渡り直した。
冷静になれば、交通ルールを守る守らない以前に、「パトカーがいるのに堂々と横断歩道を無視しようとした」自分の無神経っぷりにも唖然である。
この一部始終を後ろで見ていたのが、小学生の息子だ。
交通量の多い街中育ちの彼は、学校でも家庭でも、交通ルールを守るようにとしっかり指導を受けている。
にも関わらず、場所が変わった途端に母は、その二枚舌で堂々と交通ルールを無視しようとした。しかもパトカーの前で。
…というのが息子にはドン引き案件であったらしい。
いやいやそんなところ渡っちゃダメでしょ、と息子は後ろで思っていたらしいのだ。
だから私が平然と車道を渡ろうとした時も、彼は私の後へ続こうとせず、遠目に見ているだけだった。おそらくはドン引きの目で。
「お母さん、ちゃんと横断歩道を渡ろうね」と家に帰ってから小4に諭された、39歳オバハン。
どんな田舎道でも当然に道交法は有効である。
「まるで歩行者天国」の時代から30年近く経ち、そんな当たり前のことが今やっと分かった。
今回のことが無ければ、あそこだけは無法地帯だと間違えたままだったと思う。
大声で注意してくれたパトカーのおかげで、地元で事故に遭う危険も減り、私の寿命も延びてくれたと思う。
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歩行者は、横断歩道がある場所の付近では、その横断歩道によって横断しなければならない。
罰則(警察官等の指示に従わずに横断歩道外横断をした者)
→2万円以下の罰金又は科料
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