今期のNHK朝ドラ、「虎に翼」を欠かさず見ている。
日本初の女性弁護士の一人となった、三淵嘉子さんがモデルのドラマだ。
話が面白いのはもちろんだが、主題歌が米津玄師というのも良い。
朝から爽やかに、気持ちよく過ごせる。
私は法学部卒で、何人か弁護士の友人がいる。
司法試験前の彼らの努力は本当にすごかった。
「私のことは嫌いでも、AKB48のことは嫌いにならないでください」という名言を生んだ某総選挙に世の中が湧いていた時代に、司法試験を控えた友人は、前田敦子のことを知らなかったのだ。
それほど毎日勉強に集中していたのである。
私は彼についてそれなりに遊んでいる学生のイメージだったが、目標を決めて本気出したらスゲーんだなと、感心したエピソードだった。
さて、先日の朝ドラにこんな場面があった。
法改正によりやっと、女性が弁護士になれる時代がやってきた。
筆記をクリアし、いざ口述試験に臨んだ女性受験者だったが、試験官に聞かれたのだ。
「結婚の予定は?」と。
カチンときた彼女は思わず言った。
「その質問は、試験に関係ないのでは?」
そして彼女は試験に落ちた。
その出来事に、何だか納得できない…と感じる主人公へ、現役裁判官がかぶせるのである。
「男女で同じ成績なら、男を採用するのは当たり前のことだ!」
ーーー
女性の地位が今よりずっと低かった時代の話ではあるが、なんかちょっとこの感じ、身に覚えがあるな…
それで、自分の記憶を他り、思い出したことがある。
大体15年前、大学3年生の私は就職活動をしており、あるメーカーの最終選考に残った。
最後の社長面接は顔合わせ程度のものらしかったが、その席で私は質問されたのだ。
「親元には戻らないのですか?」と。
そのメーカーには、県外出身者の男性がたくさん在籍していた。
でももしかしたら、県外出身の女性は少なかったかもしれない。地元採用の事務職が多かったからだ。
もしかして、私が女性だから、親元へ戻るか聞かれたのか?
帰るかもしれません、先のことは分かりません、って答えたらこの選考はどうなる?
それとも性別出身無関係に、誰にでも聞いているのか?
自分の合否よりも、社長がそれを質問した意図の方が気になり、その瞬間、ここへ入社したいという気持ちがスルスルッと失せてしまった。
もらった内定も辞退した。
その後の私は、ある人材系企業に就職した。
さすが人材業界だけあって、性別や出身地など、人権問題となりかねない話は面接に一切持ち出されなかった。
そんな、男女問わずバリバリ働く系の会社に入社した私であったが、
そこからわずか1年で鬱状態となり、3年足らずでその会社を退職したのである。
私はこれまでの人生で、女性であるせいで嫌な目にあったこともあるが、逆に、女性であるおかげで多めに見てもらえた経験もある。
女だからと差別されるのは嫌だが、自分は甘ちゃんなので、「区別」はしっかりしてほしいと思っている気がする。
いやむしろ、女だからと庇護されないと、私はいっぱしの社会人として生きていけないんじゃ無いか?と考えたこともある。
だから、男女平等の世の中になればいいと思うが、
差別と区別の違いは難しいし、私はあまり体力がないし、持病があるし、多くのことを一度にできないし、今無職だし、チビだし、ケチだし、
えっと、あれ?
とにかく、「男女平等」になった時に、自分は耐えられるだろうかと。
司法の世界でものすごい働き方をする友人たちを見ていると、私にはとても無理かもしれないと。
平等になったところで、周囲の素晴らしい女性たちはどんどん活躍しても、私に限っては結局何も変わらんのではないかと、そんなこともよく思うのである。
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