息子がまだ幼児だった頃、夫は単身赴任をしていた。
週末に帰ってきても飲み会ばかり行く夫に、ワンオペで疲労困憊の私は嫌気がさしていた。
 
その後夫は改心し今は平和に暮らしているが、ふとしたときに当時の辛かった気持ちを思い出すことがある。
 
人のワンオペ話を見聞きしただけでも過剰に感情移入してしまうところがあるので、そういうものに出会ったときは、「これは私の話ではない」という当たり前のことを今一度考え、必要以上に口を出さないように気をつけている。
 
 
 
 
大学時代の友人と、オンライン同窓会をしたときのことである。
皆それぞれに忙しいので、日取りだけ決めて時間は決めず、ZOOMを開けている間出入り自由、というルールで開催された。
 
多忙な友人が多く、全員が一斉に揃うことはまずない。
メンバーが入れ替わり立ち替わりする様子を、たいがい暇な私と、主催者である友人Aとで眺めながら喋っているということが多い。
 
なんせこの同窓会は、「ゆきんこがいないと始まらない」と言われている。私の都合が合う日を最優先に日程が決められているらしい。
 
なぜなら私に人望があるから、でなはなく、私がよく喋るから。
私さえいれば、オンラインで誰も喋らずシーンとする、ということに決してならないので重宝されているそうである。
 
 
 
 
その日、ZOOM同窓会に遅れて入室した友人がいた。
彼は弁護士をしている。
 
非常に忙しく、日付が変わるまで働くこともしばしば。土日も大体、仕事をしている。同窓会の日もZOOM入室直前まで、事務所で残務処理をしていた。
 
 
彼は大学時代の学部仲間と結婚した。つまり彼の奥さんは、同じ大学の私とも学部仲間である。
 
幼い子がいるのに、そして奥さんも超優秀なのに、家事育児を丸投げしてそんなに仕事ばっかりするな。奥さんが可哀想だ!
と冗談半分に、しかし半ば本気で私は、彼に文句を言った。
 
 
そこですかさず口を挟んだのが、同窓会主催者の友人Aである。
 
彼は私に、「こいつだって必死に働いているんだから、そんなことを言うな」と怒った。
 
おっしゃる通りだ、彼が必死に働いているのを、奥さんは心から応援しているかもしれない。それなのに、私は自分の鬱憤を晴らすために、他人の家族の形に口出ししてしまった。
 
ほんまやな、ごめん、勢いで言いすぎた、申し訳ない、と謝った。
 
 
 
その時ZOOMにいたメンバーは私をのぞいて6人。全員男であった。
二人が弁護士、二人が司法書士、一人が国家公務員、一人が保険営業マンである。
皆が皆、クソ忙しい。そして家族の大黒柱としての責任を背負っている。
 
 
私は「バリバリ働きたいのに家事育児のせいでそれが許されない立場の女」目線の話に近頃どっぷり浸かっていたので、男目線の、家族を養うプレッシャーの中で一生懸命仕事をする男の気持ちというものを、ちょっと忘れていた気がする。
 
友人たちは皆度量が大きいので、パートの私が視野の狭まった状態でピーチクパーチク言ったことも全て優しく受け止めてくれる。今回の、弁護士の彼だってそうである。
 
その上であえて、「そんなことを言うな」と、人の尊厳を傷つけかねない私の言葉を横からピシャッと止めてくれた友人Aに、心から感謝した。
 
 
 
 
 

 

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