
現在40歳の夫は、数年前、転職を考えていた。
転職エージェントに登録し、オンライン面談や、求人紹介を受けたりしていた。
このブログを始めた当時、夫の手取りは大体450万。額面で600万円程だった。
これはコロナ禍の、一切残業できなくなってからの金額である。
それより前は時期により、手取りで600万を超えていたこともあった。
しがない時短パートをしていた私からすれば、夫は超高給取りだった。
当時30代半ばで、出世街道にも乗っていて、これだけ恵まれた社会人生活はなかなか無いだろうと思っていた。
(もちろん夫の努力が一番大きい。)
そんな夫が転職したいと言いだしたのだから、当時の私はもう、
「はぁぁ??」だった。
今の職場に特別不満があるわけではなく、「自分自身の成長のため」というアホみたいに優等生な転職理由だったからだ。
転職エージェントの人にも言われたらしい。
「本当にその理由だけで転職しようという人にお会いしたのは、初めてです」と。
私も夫の会社の人たちとプライベートで会うことがあるからよく知っている。
人間関係も、福利更生も、ちゃんと昇給のある給料だって、悪いとこなんてどこにも無さそうなかんじ。
私は夫の転職に猛反対だった。
面と向かっては言わないが、心の中では100%反对。
夫がハードに働く中私はワンオペで死にそうだった、それでもせっかくここまで続けてきたのに私の頑張りも全部ムダちゃう?
ここまで必死にやってきた私の気持ち考えたことある?
なんなん?っていう気持ち。
夫の転職なんてとんでもない!と思っていたが、そんなさなかに起きたのが、夫の交通事故だった。
横断歩道を青信号で渡っていたところを、車にはねられたのだ。
幸い大ケガは免れたが、夫は体の痛みであまり動けない日が続いた。
あの頃は一日一日を過ごすことに一生懸命だったから何も考えていなかったけれど、しばらく経ってから急に恐ろしくなった。
あのとき夫は死んでいたかもしれない。
障害が残って寝たきりになったり、
手足が無くなっていたりしたかもしれない。
今まで当たり前にできていたことが、あの日突然できなくなっていたかもしれないと思ったら、スーッと背筋が冷えたのだ。
妻の私にとっては、 価値感がごっそり覆されるような大きな出来事で、以来思うようになった。
「夫が転職したいなら好きに動くと良いし、趣味だって、お金も時間もかけて存分にやるのが良い」、と。
人生いつ終わるか分からん。
夫の人生は一度終わりかけた。
あそこから私は、彼の転職にも「はぁぁ??」なんて思わなくなった。
これだけ豊かな暮らしをしているからうっかり忘れそうになっていたけれど、別に私は夫の稼ぎをあてにして結婚したわけじゃない。
結婚したとき、高卒の彼の手取りは月15万円だった。ボーナスは、30万円もあったかなあ。
そんなこともいろいろ思い出した。
先日、NHKの番組で、仕事を休みフェリー旅行をしているという60代男性のインタビューを見た。
彼は言っていた。
「たくさん時間はあったのに、
気が付いたら高齢者になっていた」 と。
うらしま太郎の玉手箱のような話だと思った。あっという間に歳を取る。
なにかにしがみつくとしたら、今の生活にしがみつくんじゃなくて、楽しいことにしがみつくのが良い。
なんたって、死んだら全部終わりなんだから。
お金は要る。まちがいなく要る。
が、お金が要ることと夫の転職とはまた別の話だ。うちに大人はもう一人いるんだから。(=私。)
交通事故以降、夫から転職の話は出なくなった。
今の会社で大きな昇進も果たした彼だが、もしかするとそのうちに、また転職したいと言い出すかもしれない。
そのときには私も、100%応援の気持ちで見守ろうと思っている。

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