10年前に子を産んでからの私は、冬の実家へ帰省したことがない。
アホみたいに寒いからだ。
新しく建てた実家家屋の方はまだ良いが、自営業をしている古い建物の方は凍死するほどの寒さである。
ある冬の日、昼間に仕事をする部屋の温度を父が確認したところ、2度しかなかったらしい。
外気温は5度はあったそうだから、外より中の方がずっと寒いのである。
逆に、夏場の室内は快適だ。
酷暑であっても、エアコンなしで過ごせる程度で済むことが多い。
そんなわけで、子を連れての帰省はいつも夏休みを選んでいた。
それが今年は、初めて4月の春休みに帰省をした。この時期に私が地元へ帰るのは、独身の頃以来である。
4月といってもまだまだ寒いので、防寒具は必須だ。
そうでなくても寒がりの私が凍え死なぬように、大荷物覚悟でこれを持参した。
これはネックウォーマー…
ではなく、膝まで隠れるモッコモコの部屋着である。
過去記事に登場した、「ジェラピケの上を行くルームウェア」だ。
完璧な作りでとにかく暖かいが、とにかくボリュームもあるこれ。
そのまま畳んで帰省バッグへ入れたのでは、他の荷物が入らない。
それで、こんな工夫をした。
黄色の荷作り紐で
グググッと縛る。
モコモコがこれ以上膨らまないようにと苦肉の策であったが、これを見た息子に言われた。
「お母さん、そのゴミなぁに?」
大事なゴミを帰省バッグに入れ、私は息子と実家へ帰った。
そしたらなんとこのゴミの、黄色い紐が、実家で生きることとなった。
自営業をしている敷地内には「立ち入り禁止」の鎖を張っている底無し池がある。
私たちが帰省するつい数日前に、そのプラスチック鎖が劣化で切れたらしい。
黄色い紐でも買って結ぶか…
いや、このわずかな結び目のためだけにわざわざ買うのもな…
不格好だが白い紐で結ぶか…
と父が考えていたところへ、
何も知らない私がまんまと、黄色い紐を持ち帰ってきたのである。
この紐、使ってもええよと、現地で結んで帰ってきた。
復路の荷物は、実家への土産を抜いたぶん往路より少なかったので、モッコモコの上着も膨れたままでなんとかなった。
我が家には青赤黄色と紐があった中で、私がふと黄色を選んだのも何の因果か。
なんとまぁただのゴミが、役に立つこともあるもんだ。
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