
漢字に詳しい父は、娘の私が幼い頃から、どうでもいい漢字クイズを何かにつけ出題してきた。
たとえば、父の運転する車で一緒に出かけるとき。
途中見えてくる道路標識や、工事看板や、地名にある漢字でクイズを出された。
「あの看板の漢字、他にはどんな読み方があるでしょう?」ってな具合に。
父に知育という発想はなかった。自分が持つ知識で、ただただ楽しく遊びたいってだけの人種だ。
中でもよく覚えているクイズが2つある。
ひとつは、
「のり面の『のり』を漢字で書け」。
答えは「法」だ。
ホウホウ…
もうひとつは、
「『徐行』を訓読みせよ」。
答えは「おもむろにいく」である。
徐は、おもむろと読む。
これを初めて出題されたとき、私は正解できなかった。
そしたら父が子どもみたいに嬉しそうな声で、「おもむろやで〜おもむろおもむろ〜」 と得意気に何度も言ってみせるのでもうええわ!と、こちらもすっかり覚えてしまった。
あれから30年近く経つがいまだに、道路で「徐行」の 表示を見ると、「おもむろに行く…」と、私も思わず頭の中で書き下してしまう。
さてなぜこんな話をするかといえば、現在アメブロでキャンペーンをしているからだ。
「今年の漢字」を投稿すると、20名様にアベマくんグッズが当たる。
欲しい。
ちょっと当選確率の低すぎるキャンペーンだが…
でも、欲しい!
それで、私の今年の漢字って何だろうなと考えたら、あの「徐」の字が浮かんだ。
私の今年の漢字はズバリ!
「徐」
「徐に(おもむろに)」とは、「落ちついて事を始めるさま」をいう。
ゆるやかに、徐々に徐々に、ゆっくりと。
「徐」とはそんな意味を持つ漢字だ。
現在体調に難アリの私、ちょっと張り切るとすぐに心身ダウンしそうになる。
だから、朝起きたときや、何か急な予定が発生したときには、
落ち着け。落ち着け。
ゆっくり。ゆっくり。
と自分に向けて唱え続ける、 今年はそんな一年だった。
他の人が二段飛ばしで階段を上ってるように見えるときも、私は常に徐行運転。
今日は速く走れそうだなという日だって、あえての「ゆっくり」を心がけてきた。
今年の私って、漢字で表すなら「徐」だなぁってつくづく思ったのだ。
折角なので、家族にも今年の漢字を聞いてみた。
夫は、「転」。
ころぶじゃないぞ。会社で昇進し環境がガラリと変わった、「転機」の転だ。
今年彼が趣味で始め、体調の復活に一役かった「自転車」の転でもある。
小学3年生の息子は、「楽」。
毎日とっても楽しかったから、と。
良いねぇ、なんとステキな一文字だろう。
ちょっと興味がわいて、彼にはこんな質問もしてみた。
「お母さん(私)の今年の漢字って何かなぁ。」
息子から見た今年の私ってどんなだろうと思って、聞いてみたのだ。
そしたら返ってきた答えが、
「母」
お母さんは、今年ずっとお母さんだったからさ〜と。
おもろいな。たしかにな。
でも、母親らしいことは大してしてないわ、なんて笑う私に、こうも言ってくれた。
「お母さんは、ちゃんとお母さんしてたよ。たくさん遊んでくれたじゃん!」
彼にとっての理想の母とは、家のことをちゃんとする人じゃなくて、一緒に楽しく遊んでくれる人らしい。
それなら自信がある。
今年、私はちゃんと「母」だった!
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